乾燥断熱減率(読み)かんそうだんねつげんりつ

精選版 日本国語大辞典 「乾燥断熱減率」の意味・読み・例文・類語

かんそうだんねつ‐げんりつ カンサウ‥【乾燥断熱減率】

〘名〙 気象学で、水蒸気を含まない空気のかたまりを外部の空気と関係なく上昇させたときの、その空気のかたまりの温度低下の割合。一〇〇メートルにつき約摂氏一度の割合で下がる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「乾燥断熱減率」の意味・読み・例文・類語

かんそうだんねつ‐げんりつ〔カンサウダンネツ‐〕【乾燥断熱減率】

水蒸気が不飽和である空気塊が上昇し、断熱膨張するときの気温の下がる割合。100メートルにつきセ氏1度の割合で下がる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乾燥断熱減率」の意味・わかりやすい解説

乾燥断熱減率
かんそうだんねつげんりつ
dry adiabatic lapse rate

水蒸気凝結が起こらない状態で断熱的に小気塊が鉛直方向に移動したとき,その気塊の温度が高さとともに変化する割合。高度 100mにつき 0.977℃の割合で減少する。(→断熱減率

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

パラグライダー用語辞典 「乾燥断熱減率」の解説

乾燥断熱減率

サーマル地上を離れて上昇すると、雲になる前までは100mにつき1度(正確には0.976℃)の割合で気温が下がり、これを乾燥断熱減率という。この割合は地球上の場所や気温・気圧に依ることなく一定である。

出典 パラグライダー用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の乾燥断熱減率の言及

【気温減率】より

…空気塊がまわりの大気と熱交換なしに上昇するとき,まわりの大気の圧力が小さくなるので空気塊は膨張し,温度が下がる。その温度減少率は,空気塊の中で凝結がない場合は,空気の定圧比熱をCpとすると,g/Cp=0.977℃/mで,乾燥断熱減率といわれる。凝結がある場合の減少率は湿潤断熱減率といわれ,気圧や温度によって異なるが,下層大気では普通0.5~0.6℃/100mである。…

【大気汚染】より

… 1gの乾燥空気が外部から熱を供給されることなく上昇すると,気圧が低くなるので膨張して気温が下がる。この割合を乾燥断熱減率といい,その値は重力加速度を空気の定圧比熱で割って求められ,0.98℃/100mとなる。気象条件によって,高さに伴う実際の気温減率がこれより小さくなると,大気は安定となり,気温は逆転しているという。…

【断熱変化】より

p0=1000hPaとしたときの温度T0を温位(ポテンシャル温度)と呼び,断熱変化に対して変化しないため,上層の気温と下層の気温を比較する場合などに使われる(乾燥空気では(γ-1)/γは約0.286となる)。 乾燥空気が断熱変化しながら上昇するとき,100mごとに約1℃気温が低下する(この値を乾燥断熱減率という)。一方,水蒸気で飽和した空気が断熱的に上昇すると気温が低下し,水蒸気が水や氷になるため潜熱が放出され,温度低下の度合(これを湿潤断熱減率という)は乾燥断熱減率より低く,気温,気圧によって異なるが100mにつき約0.5℃となる。…

※「乾燥断熱減率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android