予備電源(読み)ヨビデンゲン

デジタル大辞泉 「予備電源」の意味・読み・例文・類語

よび‐でんげん【予備電源】

停電で常用電流の供給が止まった時、即時電力の供給を続けるための蓄電池や自家用発電機。非常用電源ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「予備電源」の意味・わかりやすい解説

予備電源
よびでんげん

重要施設をもつビル、工場、病院、コンピュータセンター、上下水道などの公共施設などにおいて、電力系統からの送電停止や受電設備の故障により停電した場合のために備えられた発電設備をいう。ディーゼル機関に代表される内燃力発電やガスタービン発電が多く用いられ、停電するとこれらの予備電源が自動的に起動して発電する方式を採用している。切換え時には発電設備の起動時間が必要で、大型発電機の場合30秒から1分程度の停電時間が生じる。この切換えに瞬時も停電を許さない施設では、非常用バッテリーをエネルギー源とする無停電電源UPS:Uninterruptible Power Supply)と併用する必要がある。UPSはバッテリーからの電力で充電しながら常時運転する無瞬断のタイプと、停電を検出してから1サイクル以内の短時間に起動するタイプがある。予備電源は電力系統から切り離され、独立した分散電源となるため周波数と電圧安定度が不足する。予備電源で復旧するときは重要な機器から数秒の時間間隔をおいて順次投入される。その順番はあらかじめ決められている。予備電源は最後の頼みであり、十分な信頼性が必要であり、予想される事態に二重三重の対策を準備しておくことが不可欠である。また消防設備や避難設備、通信設備などでは、定期的に起動試験を行うことが義務づけられている。

[嶋田隆一]

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