避難設備(読み)ひなんせつび(その他表記)fire escape apparatus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「避難設備」の意味・わかりやすい解説

避難設備
ひなんせつび
fire escape apparatus

火災などの災害が発生したときに避難のために使われる機械器具や設備をいう。避難設備は大きく避難器具と誘導灯、標識に分けられる。避難器具は応急的、補足的な避難の手段であり、避難階段などで避難できない場合に用いられる。簡単に操作ができ、確実に機能し、過大な不安感を与えないものであることが性能として要求される。この避難器具には避難ロープ、すべり棒、すべり台、避難橋、避難タラップ、避難ばしご、緩降機、救助袋の8種類があるが、設置すべき器具の種類や設置数などは消防法に細かく定められている。なお、災害時に避難器具を使いこなすためには、平常時の訓練によって使い慣れていることが望まれる。誘導灯、標識は非常口の位置や避難の方向を示すためのもので、照明装置のついた誘導灯と、つかない誘導標識とに分けられる。誘導灯や誘導標識の表示は、だれにでも容易に識別できること、また遠方からでも見分けられることが必要である。表示内容は、避難口を示す記号、避難方向の矢印、非常口という文字により構成され、色彩緑色にすることが法令に定められている。誘導灯には大、中、小の3種類のものが用意されている。大形のものは長辺が1メートル以上もあり、見分けのつきにくい地下街駅舎などで使用される。なお、誘導灯には蓄電池による非常電源が備えられ、停電しても即時に点灯しうるようになっている。

[室崎益輝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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