日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガスタービン発電」の意味・わかりやすい解説
ガスタービン発電
がすたーびんはつでん
ガスタービンを原動機とする発電方式。改良型複合サイクル(アドバンストコンバインドサイクルAdvanced Combined Cycle:ACC)発電のような蒸気発電と組み合わせて高効率にするために数十万キロワット級に大容量化されたものと、マイクロガスタービンとよばれる200キロワット程度以下の小型のものがある。原理は航空機用のガスタービンに発電機を直結し発電する形なので、冷却水が不要で起動・停止が早く、負荷との出力調整も容易である。効率は燃焼ガスの温度を高くすることで得られるので1500℃を超えるものは40%近い。10万キロワット程度のものは、電力供給のピーク負荷時や大工場の所内電源、非常用電源などに用いられている。航空機用に発展してきた関係で汽力発電に比べると小型で構造が簡単で補機が少なく、建設期間も短い。
ガスタービン発電では、吸気された空気がガスタービン直結の空気圧縮機により高い圧力に圧縮されてから燃焼器に送られ、燃料油(重油、灯油など)の噴射を受けて燃焼する。圧縮空気流は加熱されて燃焼ガスを含んでガスタービンに入り、膨張してタービンの羽根車を回転させる。排気は大気圧に近い程度の低圧となる。排ガスの温度は600℃近くあるのでそれを大気中に放出せず、その排ガスを利用して、蒸気発電と結合させることによりACC発電を行えばさらに20%程度の電力を得ることができる。そのため、これから建設される火力発電の主流になると考えられている。
小容量のマイクロガスタービン発電でも排ガス温度は300℃付近と高いので、熱交換機で温水を取り出すことができる。この温水を利用する熱電併給(コ・ジェネレーション)システムはマイクログリッド(地域に密着した小規模電力供給網)の分散電源として有望である。比較的低温の熱まで利用する結果、総合熱効率は80%程度まで上がる可能性がある。
[嶋田隆一]