二価アルコール(読み)ニカアルコール

化学辞典 第2版 「二価アルコール」の解説

二価アルコール
ニカアルコール
dihydric alcohol

グリコールまたはジオールともいう.2個のヒドロキシ基が相異なる2個のC原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物の総称.慣用名では,二価の炭化水素基名にグリコールをつけ,IUPACの命名法では,炭化水素名の語尾にジオールをつける.たとえば,CH3CH(OH)CH2OHはプロピレングリコールまたは1,2-プロパンジオールと命名する.製法は,
(1)ジハロゲン化合物を加水分解するか,ジケトンを還元する.
(2)オレフィン系炭化水素を冷過マンガン酸カリウム溶液で酸化する.
(3)ケトンを還元すると第二級アルコールのほかに,ピナコールが得られる.
(4)エポキシ化合物を水で分解する.
二価アルコールは,一般に甘味をもつ粘ちゅうな無色の液体である.相当する一価アルコールよりもはるかに沸点が高い.水,アルコール類に易溶,エーテルに難溶.アルコールの一般的性質をもち,アルコキシド,エステル,エーテルなどを生成する.脱水剤の作用で,環状エーテル,不飽和アルコール,ジエンなどを生成するが,1,2-ジオールの脱水では,アルデヒドまたはケトンを生成する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の二価アルコールの言及

【アルコール】より

…分子中の炭素原子数の多いか少ないかにしたがって,少ないもの(ふつう炭素原子数5以下)を低級アルコール,多いものを高級アルコールとよぶ。また,水酸基が1個,2個,3個などのアルコールは,それぞれ一価アルコール,二価アルコール(グリコール),三価アルコールなどといい,2価以上のものを多価アルコールとよぶ。一方,水酸基が第一炭素に結合しているアルコール(RCH2OH)を第一(または一級)アルコールとよび,第二,第三炭素に結合しているものを第二アルコール,第三アルコールという。…

※「二価アルコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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