日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピナコール」の意味・わかりやすい解説
ピナコール
ぴなこーる
pinacol
RR'C(OH)C(OH)R"Rという一般式で表される二価アルコールの総称である。また、それらを代表して一般式のすべての置換基がメチル基であるテトラメチルエチレングリコールをさすこともある。この化合物はアセトンの還元により得られる。また、ベンゾフェノンをアルコール中で光照射するとベンズピナコール(C6H5)2C(OH)C(OH)(C6H5)2とよばれるピナコールが得られる。一般にピナコールは酸の作用により水を失いピナコリンとよばれる化合物に転位をおこす。ピナコールのエーテルには、光により分解してラジカルを発生させるものがあるので、近年、光を用いる印刷などのラジカル発生剤として利用される。たとえば次の反応である。
[徳丸克己]