五塵(読み)ゴジン

デジタル大辞泉 「五塵」の意味・読み・例文・類語

ご‐じん〔‐ヂン〕【五×塵】

仏語煩悩ぼんのうを起こさせて人の心をちりのように汚すもの。しきしょうこう・味・そく五境のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「五塵」の意味・読み・例文・類語

ご‐じん‥ヂン【五塵】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。塵が物を汚すように煩悩(ぼんのう)を起こさせて人の心を汚す五つのもの。色・声(しょう)・香・味・触(そく)の五境の称。
    1. [初出の実例]「『屎尿』と『死尸』と『骨肉』とは、皆五塵に譬ふ」(出典:法華義疏(7C前)二)
    2. [その他の文献]〔理趣六波羅蜜多経‐五〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五塵」の意味・わかりやすい解説

五塵
ごじん

仏教語で、眼(げん)、耳(に)、鼻(び)、舌(ぜつ)、身(しん)の五官のそれぞれに対応する色(しき)(いろかたち)、声(しょう)、香(こう)、味(み)、触(そく)(触れられるもの)の5種の感官の対象をいう。これらは五官の欲望をおこさせる原因として、本来清らかな人間の心をけがすので、物を汚す塵(ちり)に例えた。また五境、五欲ともいう。なお、五官のほかに第六の「意」(思考作用)の対象を「法」といい、これを加えて六塵(ろくじん)あるいは六境という。

[藤井教公]

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