朝日日本歴史人物事典 「井上伊兵衛」の解説
井上伊兵衛
生年:文政4(1821)
明治期の西陣織匠。明治5(1872)年京都府織物伝習生に選ばれ,吉田忠七,佐倉常七と渡仏,リヨンで困難の末製織法を習得した。翌年帰国し,ジャカードやバッタンなどの洋式織機を日本に導入した。8年,京都府織工場(のち織殿と改称)の教授となり,新技術の指導と普及に当たった。西陣機業界のみならず日本の織物製織法の近代化に果たした彼の貢献は大きい。14年,日本の古典的な意匠を伝統的な技で織物に生かし,帝室技芸員にもなった伊達弥助の工場に就業した。<参考文献>大槻喬『西陣織物同業組合史』
(松本貴典)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報