朝日日本歴史人物事典 「井上正就」の解説
井上正就
生年:天正5(1577)
江戸初期の老中。主計頭。清秀と永田氏の娘の子。幼少から徳川秀忠に仕え,永井尚政,板倉重宗と共に近侍の三臣といわれた。大坂冬・夏の陣(1614・1615)では小姓組番頭など秀忠の親衛隊長を務め,旗本を指揮して常に秀忠の身辺を護衛した。この地位は死去するまで変わらなかったが,元和8(1622)年からは老中も務め幕政に大きく関与している。しかし寛永5(1628)年8月10日江戸城中において,目付豊島正次に殺害された。これは正就が豊島と約した婚儀をほごにしたためとされるが,江戸城での最初の刃傷事件であるとともに,体面を汚された旗本がたとえ老中でも遺恨をはらすという,当時の旗本の気骨を示している。
(小池進)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報