朝日日本歴史人物事典 「井関隆子」の解説
井関隆子
生年:天明5.6.21(1785.7.26)
江戸後期の旗本庄田安僚の娘。名はキチ。江戸生まれ。30歳ごろ,旗本井関弥右衛門の後妻となる。特定の師につかず,蔵書を熟読して独学で古典への理解を深めた。天保11(1840)年から他界する20日前の弘化1(1844)年の約5年間の日記には,江戸城内の動きや世間の事件,家族の動向,自身の文化活動を記述している。そのなかには公の記録より真実を伝えるものも多い。仏者や儒者には好感を持たず,国学的思想や平安朝文学などに影響を受け,『神代のいましめ』,『さくら雄物かたり』(1838)などの擬古物語も著している。<参考文献>深沢秋男校注『井関隆子日記』全3巻
(柴桂子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報