人丸社跡(読み)ひとまるしやあと

日本歴史地名大系 「人丸社跡」の解説

人丸社跡
ひとまるしやあと

[現在地名]中島町瀬嵐

招月庵正広の歌集「松下集」によれば、文明一二年(一四八〇)八月正広が能登に下向した動機は、瀬良志せらしという地に「木像の人丸」(柿本人麻呂)を祀る社があり、一見すべしという守護畠山義統の誘いによるものであった。「能登名跡志」に、加賀藩士で連歌に長じた浅井政右が和倉わくら(現七尾市)湯治の折人丸廟跡を訪ねて一つの片石を得て持帰り、盆中に置いて月村げつそん石と命名し、大乗だいじよう(現金沢市)の卍山にその石語を請うたとある。月村石の起りは人丸祠が、京都から能登に下向した連歌師月村斎宗碩創建にかかるという伝えに由来するもので、江戸期の金沢の文人の間では、瀬嵐せあらしの祠が戦国時代の畠山文化の余香を知らせる遺跡として著名であった(能登志徴)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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