日本大百科全書(ニッポニカ) 「人里植物」の意味・わかりやすい解説
人里植物
ひとざとしょくぶつ
田や畑の農道(あぜ道)、路傍などの人間生活にかかわりの深い場所に生える植物の一群をいい、オオバコ、クサイ、カゼクサ、オヒシバ、イヌビユ、スズメノカタビラ、ハコベ、ヒメジョオン、スギナ、ヨモギ、タンポポなど多くの種類がある。これらには帰化植物も含まれ、その一部は耕地に侵入して耕地雑草になる場合もある。このような人里植物は、生態学的には野草(野生植物)と雑草の中間に位置するもので、野草から雑草への一つのステップとも考えられる。オオバコは人里植物のよい例である。オオバコはその種子の粘着力で靴などに付着し、高所まで分布範囲を広げ、山小屋周辺に大きな群落をつくることがある。
[小滝一夫]