スギナ(その他表記)horse tail
Equisetum arvense L.

改訂新版 世界大百科事典 「スギナ」の意味・わかりやすい解説

スギナ
horse tail
Equisetum arvense L.

いたる所の原野道端に生える夏緑性の柔らかいトクサ科の多年草。栄養茎(スギナ)と胞子茎(ツクシ)の別がある。栄養茎は鮮緑色で直立し,高さ20~40cm,直径3~4mm。葉は輪生,互いに合着し,長さ5mm,葉鞘(ようしよう)は緑色,先の歯片は暗褐色,長さ2mm。枝も輪生し,密にでる。小枝は三~四稜形で,葉の歯片も3~4枚。胞子茎は肉質,はだ色または淡褐色,長さ10~30cm,枝をださない。胞子をとばすとすぐに枯れる。葉もはだ色で,歯片は暗褐色。この輪状に合着した葉を〈はかま〉という。胞子囊穂は胞子茎の先端に1個つき,有柄,先は丸い。北海道から九州にふつうに生じ,北半球温帯暖帯に広く分布する。

 春の訪れを告げることで愛されるツクシ(土筆)はスギナの胞子茎のことで,土を掘ってみると,スギナと同じ地下茎からでているのがわかる。春先にまずツクシがのび,後でスギナが展開する。ツクシは食用にされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スギナ」の意味・わかりやすい解説

スギナ
すぎな / 杉菜
[学] Equisetum arvense L.

トクサ科の夏緑性シダ。草体で、節と節間部からなる。根茎は地中を長く走り、節から地上茎を分出する。地上茎には胞子茎と栄養茎の2型があり、早春に胞子茎が出たあとに栄養茎が出る。胞子茎は「つくし」(土筆、筆頭菜)ともいい、肉質で淡褐色の1本の茎で枝を出さず、節ごとに濃褐色の舌状の葉が合着した鞘(さや)がある。これを俗に「はかま」とよぶ。茎頂には松かさ状の胞子嚢穂(のうすい)をつける。栄養茎は緑色で、節から鞘状に合着した舌状葉と、節のある枝を輪生する。至る所の野原や道端にみられる。

 つくしは春の味覚で、ごまやからしで和(あ)えたり、煮物、ひたし物にする。はかまをとって、塩を一つまみ入れた熱湯でさっとあく抜きしてから調理する。また栄養茎は無水ケイ酸のほか、サポニンの一種エキセトニン、アルカロイドの一種エキセチンを含み、利尿に効く民間薬にもなる。

 イヌスギナE. palustreは鞘状の舌状葉の先端が白い膜質で、胞子茎をつくらず、栄養茎の先端に胞子嚢穂をつける。分布は、本州中部地方以北の涼しい地方。

西田 誠]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スギナ」の意味・わかりやすい解説

スギナ(杉菜)
スギナ
Equisetum arvense; horse tail

トクサ科の多年生シダ植物。北半球の温帯に広く分布している。原野,路傍,堤などいたるところに生えている。根茎は地中を横に長く伸びて分枝し,節から直立した栄養茎を多く出す。高さ 20~40cm,節には輪生する鱗片状の葉をつけ,また多くの枝を輪状に出す。この栄養茎に先立って早春の頃,つくしと呼ばれる胞子茎を出す。高さ約 20cm,茎頂に多数の子嚢托から成る長楕円形の穂がある。子嚢托は六角形状で裏側の中央に柄があり,その周囲に5~10個の細長い胞子嚢がある。胞子茎は胞子を飛ばしたあとに枯れる。胞子には特有な弾糸が付着し,これは乾くと伸びて広がり,湿ると胞子に巻きつく運動をする。伸びはじめの若いつくしは,あえ物などにして食べる。

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百科事典マイペディア 「スギナ」の意味・わかりやすい解説

スギナ

トクサ科の夏緑性シダ。北海道〜九州,および北半球の暖〜寒帯に分布し,河原,荒地,畑などにはえる。長い地下茎からまばらに高さ20〜40cmの茎が出る。茎は細い緑色の針金状で節から小枝が輪生し,小枝からさらに細枝が輪生して茂る。3〜4月,新しい茎が出る前に,枝のない褐色の胞子茎(ツクシ)が出,頭部からたくさんの胞子を出す。ツクシはひたし物などにして食べる。

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