栽培されていない野生の草本植物をいう。野草のなかには、昔から日本各地にみられる在来植物のほかに、外国種が渡来して雑草となって広がったものも多い。これが、いわゆる帰化植物といわれるもので、東京、大阪などの大都市の路傍や空き地に多く生育している。ヒメジョオン、セイヨウタンポポ、ムラサキカタバミ、オオマツヨイグサなどはこうした都市の野草といえる。農耕地や放牧地に生育する野草のうち、人間生活の影響下にあるものとしてトキワハゼ、オオジシバリ、スイバ、レンゲソウ、チカラシバ、ススキなどがあげられる。これらは生態学的には人里植物とよばれる植物である。高山や山里の森林、草原には日本の在来種や特産種が多い。高山の草原でお花畑をつくる植物は1000種以上もあり、シシウド、ニッコウキスゲ、クガイソウ、タカネマツムシソウ、アキノキリンソウ、ヤマトリカブトなどがよく知られている。森林の林床にはツバメオモト、ゴゼンタチバナ、イワカガミ、ハリブキ、カニコウモリなどが生育している。
野草は昔から薬用、食用、染料などに利用され、人間生活と深くかかわり合ってきた。ドクダミ、ゲンノショウコは民間薬としてよく用いられてきたし、春の七草をはじめ、ふきのとう、タラの芽、ヤマノイモのむかごなどは山菜として珍重されている。アカネ、ムラサキは染料として、カラムシ、アマは繊維源として古くから日本で利用されてきたものである。
[杉山明子]
中国の作家魯迅(ろじん)の散文集。1927年北新書局刊。24年11月から26年4月まで『語絲(ごし)』に断続的に掲載した「秋夜」「過客」「墓碑銘」など23編と、「題辞」(1926.4作)からなる。ただし、「題辞」は31年の第七刷以降国民党の検閲によって削除され、38年版『魯迅全集』にも収められず、『魯迅三十年集』(1941)で復活した。「明と暗、生と死、過去と未来の境」における作品と自らいう(「題辞」)ように、外的現実および自己の内面の双方にわたって、矛盾する要素にとくに焦点をあてたもので、前期魯迅の内面に存在した複雑な側面を示す。形式も、詩、戯曲、散文と各種にわたり、散文も彼の心象を託した抽象度の高いものから、雑文に近い現実批判まで多様である。
[丸山 昇]
『竹内好訳『野草』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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