野草(読み)ヤソウ

デジタル大辞泉 「野草」の意味・読み・例文・類語

や‐そう〔‐サウ〕【野草】

山野に自生する草。野の草。
[類語]草本千草春草若草夏草秋草冬草枯れ草干し草蔓草水草浮き草牧草薬草ハーブ庭草雑草下草下生え山草

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精選版 日本国語大辞典 「野草」の意味・読み・例文・類語

の‐ぐさ【野草】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 野原に生えている草。野生の草木。
    1. [初出の実例]「ほの結ぶ野草隠れの花薄とけでや秋も過むとすらむ」(出典:清慎公集(970頃))
  3. カヤツリグサ科一年草。千葉県以西の本州・四国・九州の臨海の日当たりの良い湿地に生える。稈は細く多数叢生して高さ二〇~四〇センチメートル。葉は狭線形で基部はさやとなって茎を包む。夏、茎の上部の葉腋に紫褐色の小穂をつける。ひげくさ。

や‐そう‥サウ【野草】

  1. 〘 名詞 〙 山野に自生する草本。野の草。
    1. [初出の実例]「属思江舟棹、宜瞻野草廬」(出典:菅家文草(900頃)三・新月二十韻)
    2. 「日は野草の露より出て、若木の枝に昇らず」(出典:海道記(1223頃)豊河より橋本)
    3. [その他の文献]〔管子‐侈靡〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野草」の意味・わかりやすい解説

野草(植物)
やそう

栽培されていない野生の草本植物をいう。野草のなかには、昔から日本各地にみられる在来植物のほかに、外国種が渡来して雑草となって広がったものも多い。これが、いわゆる帰化植物といわれるもので、東京、大阪などの大都市の路傍や空き地に多く生育している。ヒメジョオンセイヨウタンポポムラサキカタバミオオマツヨイグサなどはこうした都市の野草といえる。農耕地や放牧地に生育する野草のうち、人間生活の影響下にあるものとしてトキワハゼオオジシバリスイバレンゲソウチカラシバススキなどがあげられる。これらは生態学的には人里植物とよばれる植物である。高山や山里の森林、草原には日本の在来種や特産種が多い。高山の草原でお花畑をつくる植物は1000種以上もあり、シシウド、ニッコウキスゲクガイソウタカネマツムシソウアキノキリンソウヤマトリカブトなどがよく知られている。森林の林床にはツバメオモトゴゼンタチバナイワカガミハリブキ、カニコウモリなどが生育している。

 野草は昔から薬用、食用、染料などに利用され、人間生活と深くかかわり合ってきた。ドクダミゲンノショウコ民間薬としてよく用いられてきたし、春の七草をはじめ、ふきのとう、タラの芽、ヤマノイモのむかごなどは山菜として珍重されている。アカネ、ムラサキは染料として、カラムシ、アマは繊維源として古くから日本で利用されてきたものである。

[杉山明子]


野草(魯迅の散文集)
やそう

中国の作家魯迅(ろじん)の散文集。1927年北新書局刊。24年11月から26年4月まで『語絲(ごし)』に断続的に掲載した「秋夜」「過客」「墓碑銘」など23編と、「題辞」(1926.4作)からなる。ただし、「題辞」は31年の第七刷以降国民党の検閲によって削除され、38年版『魯迅全集』にも収められず、『魯迅三十年集』(1941)で復活した。「明と暗、生と死、過去と未来の境」における作品と自らいう(「題辞」)ように、外的現実および自己の内面の双方にわたって、矛盾する要素にとくに焦点をあてたもので、前期魯迅の内面に存在した複雑な側面を示す。形式も、詩、戯曲、散文と各種にわたり、散文も彼の心象を託した抽象度の高いものから、雑文に近い現実批判まで多様である。

[丸山 昇]

『竹内好訳『野草』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野草」の意味・わかりやすい解説

野草
やそう
wild grass

原野,山林に自然に生えている草本類。路傍,耕地,庭園など人為的に植生がこわされたところにのみ生存する雑草と区別していう。元来はその土地に土着のものをさすべきであるが,帰化植物である場合もある。雑草的環境に移植してもほとんど不成功に終ることが多い。特に花に鑑賞価値を認めるものは野生草花 wild flowerという。

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普及版 字通 「野草」の読み・字形・画数・意味

【野草】やそう

野の草。

字通「野」の項目を見る

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