人間到る処青山有り(読み)じんかんいたるところせいざんあり

故事成語を知る辞典 「人間到る処青山有り」の解説

人間到る処青山有り

骨を埋める場所は、どこにでもある。大望を実現するためには、故郷にこだわらず、広い世間に出て活動すべきである、ということ。

[使用例] ああ人生いたるところに青山ありだよ、男からびの手紙が来る[林芙美子*放浪記|1928~29]

[使用例] あなたは、ご自分の故郷にだけ人生があると思い込んでいらっしゃるから、そんなに苦しくおなりになるのよ。人間到るところに青山があるとか書生さんたちがよく歌っているじゃありませんか[太宰治*竹青|1945]

[由来] 幕末の僧げっしょうの詩「まさに東遊せんとして壁に題す」の末尾の一句。おう(現在の山口県)に生まれた月性は、二七歳のとき、大阪の有名な漢学者、篠崎しょうちくのもとで勉強をすることになりました。その際、故郷を出るに当たって作ったのが、この漢詩。「男児志を立ててきょうかんず、学のし成る無くんばかえらじ(男が決心して故郷を出るのだから、学問が身につかなかったら、帰っては来まい)」と決意を述べたあと、「骨を埋めるに何ぞ期せん墳墓の地、人間到る処青山有り(先祖代々の墓に葬ってもらおうなどと考えてはいない。世の中、どこに行っても墓地になる森はある)」と結んでいます。

[解説] ❶月性は、じょう論者として活躍し、幕末の志士たちにも大きな影響を与えました。そのため、明治以後、この漢詩は、立身を夢見て故郷を後にする青年送別の席などでよく吟じられ、広く知られるようになりました。❷「人間」は、「人々の間」つまり「世の中」のこと。「にんげん」と読んでも間違いではありませんが、意味をはっきりさせるために「じんかん」と読む習慣があります。

〔異形〕人生至る処青山有り。

人間到る処青山有り

[参照] 人間到る処青山有り

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ことわざを知る辞典 「人間到る処青山有り」の解説

人間到る処青山有り

世の中はどこで死のうと、骨を埋める所はある。郷里だけが墳墓の地ではないから、大望を実現するためにはどこへでも行って、心置きなく活動すべきである。

[使用例] あなたは、ご自分の故郷にだけ人生があると思い込んでいらっしゃるから、そんなに苦しくおなりになるのよ。人間到るところに青山があるとか書生さんたちがよく歌っているじゃありませんか[太宰治*竹青|1945]

[解説] 幕末の尊王攘夷派の僧げっしょうが故郷を後にするときに書き残した「将東遊題壁詩」の一節によることば。この漢詩は、青雲の志を抱いて故郷を後にする青年の送別の席などでよく吟じられ、ひろく知られるようになりました。「人間」は人の住む所、世の中の意。「青山」は骨を埋める所、墳墓の地。

人間到る処青山有り

[参照] 人間到る処青山有り

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