人面獣身像(読み)じんめんじゅうしんぞう(その他表記)human-headed animal

改訂新版 世界大百科事典 「人面獣身像」の意味・わかりやすい解説

人面獣身像 (じんめんじゅうしんぞう)
human-headed animal

人間の頭部(人面)と動物の体軀・四肢との合成像。古来多くの文化に例を見るが,ここでは古代メソポタミアのものに限って記述する。メソポタミアでは超人間的な存在を具現化するために怪獣が創出され,前3千年紀後半のシュメール人の国家,初期王朝末期ごろから,人面と牡牛を組み合わせた像が円筒印章などに刻出された。これは《ギルガメシュ叙事詩》にあらわれる怪人エンキドゥEnkiduと解されている。以後,このような存在(牡牛形怪人)はアッカドを経て,アッシリアアケメネス朝ペルシアの美術に継承された。その最も完成した形態はアッシリアの宮殿の門を飾っていた一対の人面有翼牡牛像で,アッカド語でラマッスlamassuないしラマストゥlamastuと呼ばれ,僻邪,吉祥,豊穣をつかさどる精霊の像といわれる。これは,知性を象徴する人間(頭部),鳥の王たるワシ(両翼),豊穣・富を代表する家畜の典型的存在たる牡牛の身体(ときには,さらに砂漠の支配者たるライオン)を合成することによって,超絶的な威力・魔力を表象している。
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