翻訳|Akkadian
最古のセム語であり,現在最もよく理解されているセム語の一つ。東方セム語を代表する唯一の言語で,その表記には楔形文字であるシュメール文字が,一部は表意文字として,しかし通常は表音文字として用いられる。最古のアッカド語は,ファラ(古代のシュルッパク)やアブー・サラビク出土の粘土板に現れる人名から知られるが,アッカド語で書かれた文書が現れるのは前3千年紀の半ばころ以後である。最後のアッカド語文書は後74か75年のものとされる。最古のアッカド語は古アッカド語と呼ばれ,先サルゴン期からサルゴン期を経てウル第3王朝時代末ころ(前2500-前2000ころ)までの王碑文,経済文書,若干の書簡などから知られる。その後アッカド語は,南のバビロニア語(正確には方言)と北のアッシリア語(正確には方言)に分かれる。古アッカド語とバビロニア語およびアッシリア語との系譜関係は必ずしも明らかでない。
バビロニア語はさらに,ハンムラピ法典,王碑文,ハンムラピの書簡などに代表される古バビロニア語(前2000-前1600ころ),カッシート時代のバビロニアから出土した書簡や経済文書から知られる中期バビロニア語(前1600-前1000ころ),混乱期のバビロニア出土の書簡や経済文書から知られる新バビロニア語(前1000-前625ころ)およびカルデア王朝,ペルシア時代およびセレウコス朝時代の文書に見られる後期バビロニア語(前625-後75ころ)などに区別される。このうち中期バビロニア語の時代にはアッカド語が近東全体の国際語として広く用いられていたことは,小アジアのボアズキョイ文書(前15世紀),シリアのウガリト文書(前15~前13世紀),エジプトの文書などの多くがアッカド語で書かれていたことから明らかである。
他方アッシリア語は,カッパドキアのアッシリア商人植民地跡から出土したカッパドキア文書に代表される古アッシリア語(前19世紀),アッシュール出土の〈アッシリア法〉などによって代表される中期アッシリア語(前1500-前1000ころ),アッシリア隆盛期の書簡,経済文書などに見られる新アッシリア語(前1000-前625ころ)などに区別される。ほかに〈標準バビロニア語〉と呼ばれるものがあるが,これはカッシート時代の書記たちが古バビロニア語を基にして作り上げた一種の文語で,宗教・文学作品のことばとしてバビロニアのみならずアッシリアにおいても広く用いられた。なおアッカド語は,シュメール語の影響を受けて喉頭音の多くを失い,定動詞も特に古バビロニア語においては文章末尾にくるなど,他のセム語には見られないいくつもの特徴をもっている。
執筆者:中田 一郎
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古代メソポタミア地方で使われた言語。セム語族に属し、そのなかでは北東セム語派を形成する。北西部(アッシリア)と南東部(バビロニア)の2方言に分かれ、アッシリア・バビロニア語とも称されるが、もっとも早く(前2300年ごろ)統合の中心となった都市アッカドの名によって総称される。記録資料は紀元前三千年紀なかばから1世紀にまで及び、楔形(くさびがた)文字で記されている。
[田中利光]
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