翻訳|callus
骨折の際の骨欠損部をうずめるために新生した不完全な骨組織をいう。骨折のときは血管も破れ出血が生じ血腫ができる。この血腫の中のフィブリンが網目構造を作り,この網目に沿って繊維芽細胞や新生した毛細血管が侵入して肉芽組織を作る。ここまでは軟部組織の治癒過程と同じであるが,骨組織の場合は,この肉芽組織を母地として繊維軟骨性組織が生まれ,骨の形成がはじまる。骨形成に関与する細胞は,骨折した部分の周囲にある骨芽細胞や軟骨芽細胞が病巣部に伸びてくる場合と,肉芽組織内の繊維芽細胞が骨形成細胞に分化してくる場合と,両方の機序が働いている。通常,骨折部がきれいに整復され,かつ静止していれば,完全な骨形成により骨折は治癒する。骨折がひどかったり,また治癒過程にゆがみが生ずると,異常な骨化や変形が生ずる。また栄養状態の悪いとき,とくにカルシウムやビタミンの不足や化膿した場合,あるいは老人の場合などは,仮骨が遅れ,骨のつきが悪いという状態が生ずる。
執筆者:長島 和郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…植物体に傷がついたとき,その傷の周囲に二次的につくられる分裂組織が形成する組織。ハーバーラントG.Haberlandtが命名(1902)。癒傷組織ともいう。最近ではこの定義を拡大して,植物体の一部を植物ホルモン(オーキシンやサイトカイニンなど)を含む培地上で培養したとき生じる人工的な細胞塊もカルスという。すでに分化していた細胞が,外的条件によって脱分化する例の典型で,カルスは活発な増殖を行ったのち,やがて再分化することが多い。…
…(7)痂皮crust 鱗屑に滲出液が混じりあった黄色調のいわゆる〈かさぶた〉。(8)胼胝(べんち)callus角 質層が限局性に厚くなったもの。いわゆる〈たこ〉。…
…骨折修復過程に関与するメカニズムは,組織学的・生化学的に複雑な経過をとるが,局所の反応として,まず外傷性の炎症が生じ,次いで肉芽が形成され骨新生が行われ,未熟な骨から成熟した骨へと進み,骨折部の癒合が完成する。この過程中形成される繊維組織,軟骨組織,未熟な骨組織(繊維骨)を総称して仮骨という。臨床的に重要なことは,未熟な繊維骨によって骨折端が互いにつながり,X線写真で仮骨形成がみられる時期には,骨折局所の圧痛もほとんど消失する。…
※「仮骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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