伊勢の浜荻(読み)イセノハマオギ

デジタル大辞泉 「伊勢の浜荻」の意味・読み・例文・類語

いせ‐の‐はまおぎ〔‐はまをぎ〕【×勢の浜×荻】

伊勢浜辺に生えている
「あたら夜を―折り敷きていも恋ひしらに見つる月かな」〈千載・羇旅〉
《伊勢では「はまおぎ」とよぶところから》あしのこと。
「―名を変へて、よしといふもあしといふも、同じ草なりと聞くものを」〈謡・歌占

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精選版 日本国語大辞典 「伊勢の浜荻」の意味・読み・例文・類語

いせ【伊勢】 の 浜荻(はまおぎ)

  1. 伊勢国の浜辺に生えている荻。
    1. [初出の実例]「神風の伊勢乃浜荻(イセノはまをぎ)折り伏せて旅宿(たびね)やすらむ荒き浜辺に」(出典万葉集(8C後)四・五〇〇)
  2. 植物「あし(葦)」の異名
    1. [初出の実例]「伊勢の浜荻名を変へて、葦(よし)といふも蘆(あし)といふも、同じ草なり」(出典:謡曲・歌占(1432頃))

伊勢の浜荻の語誌

( 1 )の「万葉‐五〇〇」の歌を本歌として「伊勢の浜荻」が多く詠まれた。
( 2 )浜荻を葦の異名とするのは、「嘉応二年住吉社歌合」の俊成判詞「伊勢しまには、はまをぎと名づくれど、難波わたりにはあしとのみいひ」などによる。

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