歌占(読み)うたうら

精選版 日本国語大辞典 「歌占」の意味・読み・例文・類語

うた‐うら【歌占】

[1] 〘名〙 百人一首より歌を選ばせて、その歌の意味から吉凶を占うこと。また、巫女(みこ)などが占いの結果を歌で言うこと。
※長秋記‐長承二年(1133)七月七日「不男女七人会同、各書旧歌百首、都合為一巻、用歌占
謡曲・歌占(1432頃)「小弓短冊を付け歌占を引き候ふが」
[2] 謡曲。四番目物。各流。観世十郎元雅(もとまさ)作。二見の神主渡会家次(わたらいいえつぐ)の一子幸菊丸は、行方の知れない父を尋ねて流浪し、加賀国白山のふもとで歌占をしている父と会う。

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デジタル大辞泉 「歌占」の意味・読み・例文・類語

うた‐うら【歌占】

巫女みこ男巫おとこみこ神慮和歌で告げること。また、その歌による吉凶判断。
男巫みこの候が、小弓に短冊を付け―を引き候が」〈謡・歌占
百人一首草子などを任意に開き、そこに出た歌で吉凶を占うこと。
[補説]曲名別項。→歌占

うたうら【歌占】[謡曲]

謡曲。四番目物観世十郎元雅作。歌占を業とする渡会家次わたらいいえつぐが、白山の麓で子の幸菊丸と再会し、神がかりとなって地獄曲舞くせまいを舞う。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌占」の意味・わかりやすい解説

歌占
うたうら

能の曲目。四番目物。五流現行曲。観世元雅(もとまさ)作。頓死(とんし)して3日目に蘇生(そせい)した若い男巫子(みこ)(シテ)は、地獄を見た恐怖で白髪となっている。弓につけた短冊を選ばせ、その歌で占う中世の風俗と、異常体験の異風の男を重ねた異色作。シテの舞う地獄巡りの曲舞(くせまい)が眼目である。山本某の作詞、海老名南阿弥(えびななんあみ)の作曲になるもので、八大地獄の恐ろしさを描く。この前後に元雅が親子再会談のストーリーを加えて能に仕立てたもので、終曲部の神のとがめの激しい狂乱状態の描写も特長である。生き別れの父を探す少年(子方)を保護する里人の役は、流儀によってツレともし、またワキでも演ずる。

[増田正造]

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