和歌,漢詩,俳諧の優劣を判定した詞(ことば)。とくに歌合・句合において,判者が番(つが)わされた左右の歌・句についての優劣を勝・持(じ)(判定しがたい場合)とし,その判定理由を書いた詞をいうことが多い。平安初期をやや下ったころに起こり,鎌倉初期盛んとなった文学的歌合において,複数判者や衆議判,判に対する反駁としての陳状,さらに改判,再判などが行われた。俳諧もこの形式をつぎ,貞門では立圃(りゆうほ),季吟が好んだが,蕉門ではことに重視され,芭蕉は《貝おほひ》において判詞の持つ批評性を新しい俳風の創出に生かし,以後も芭蕉判《俳諧合》,衆議判《蛙合》といったぐあいに,俳風の屈折点において句合を試み,新風の主張を行った。蕉門の句合には,嵐蘭判《罌粟(けし)合》,其角判《句兄弟》などがある。蕉門では概して俊成判西行自歌合《御裳濯河(みもすそかわ)歌合》の影響が強かった。蕉門外にも素堂判《とくとくの句合》,才麿判《伊丹発句合》などがあった。
執筆者:井上 敏幸
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