群馬県伊勢崎市付近で織り出される銘仙。享保(きょうほう)年間(1716~36)以後、農家の副業として太織(ふとおり)とよぶ縞物(しまもの)があり、『万金産業袋(ばんきんすぎわいぶくろ)』では次絹(なみきぬ)の産地とされていた。文政(ぶんせい)年間(1818~30)に元機屋(もとはたや)ができ、農家へ賃機を出すようになってから発展。とくに絣柄(かすりがら)は世間の好みに合致し、他の産地もこれに倣うほどで、第二次世界大戦前の最盛期には、わが国最大の銘仙生産量を誇っていた。絣には併用絣、緯総(よこそう)絣、珍(ちん)絣などがあり、型紙捺染(なっせん)、板締めを併用して織り出され、意匠面にもくふうを凝らしたものが多い。戦後から現在にかけては、生活内容の変化から需要は減少、現在では日常着のウール着尺(きじゃく)、シルクウール着尺などに生産が移行しているが、絣技法はそのまま伝承されている。
[角山幸洋]
…群馬県伊勢崎地方産の絹織物。1720年(享保5)ころから堅牢な太織(ふとおり),縞物の産地として名が売れ,19世紀に入って生産,取引量を増大させた。玉糸,のし糸を原料とし,躄機(いざりばた)による農家の賃織りが主流であったが,1880年代以降,高機(たかばた),化学染料,絹紡糸を導入し,絣物(かすりもの)の生産を軌道にのせるなどして,以後第2次世界大戦前まで銘仙の一大産地となった。戦後の復興期には化繊やウールの着尺(きじやく)の生産が新たに登場した。…
※「伊勢崎銘仙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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