会津世直し一揆(読み)あいづよなおしいっき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「会津世直し一揆」の意味・わかりやすい解説

会津世直し一揆
あいづよなおしいっき

岩代(いわしろ)国(福島県)会津地方に起こった世直し一揆。1868年(明治1)10月3日戊辰(ぼしん)戦争直後、会津藩領と幕領地南会津、大沼、耶麻(やま)、河沼の各郡に世直し一揆が起こった。要求は、新政府の出先機関若松民政局に訴願し、また村々の豪農に対しても行った。多くの郷頭(ごうがしら)(数か村支配の村役人)、名主らが打毀(うちこわ)され、12月21日に至って終息した。南会津郡では、世直しは1組(約15か村以上30余か村で構成)ごとに要求を出すことにし、その内容は、名主の総改選、郷頭も負担は本百姓同様に勤める、名主の手元にある公文書借用証文農民に引き渡す、田畑山林の質入地は年賦もしくは無償で引き渡す、貸金は無利子10か年賦、年貢は1年もしくは3年の無税、このほか村入用、籾(もみ)借入れの無償、漆蝋(うるしろう)の4割納入、農産物の自由販売、戊辰戦争による被害につき無年貢、小作地の返却と減免など多岐にわたった。とくに村役人改選、無年貢、農産物自由販売など、従前百姓一揆における年貢減免要求とは異なり世直しの目標が明確となっている点が注目される。農民たちは質入地などを相対(あいたい)で解決し、検地帳や年貢帳、各種証文の焼却を行い、また各村では民主的選挙を行った。

庄司吉之助

『庄司吉之助著『世直し一揆の研究』(1970・校倉書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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