伽陀寺跡(読み)かだじあと

日本歴史地名大系 「伽陀寺跡」の解説

伽陀寺跡
かだじあと

[現在地名]和歌山市加太

加太かだにあった修験寺院。加陀寺・賀陀寺とも書く。現在跡地は確定できないが、「続風土記」は加太村の項に「村の東三町許山の麓にあり」とし、「紀伊国名所図会」は「加太村山の半腹にあり」と記す。現南海電鉄加太駅北方の山麓一帯の地にあったと考えられており、付近にはどうまえという小名が残り、古瓦が出土したことと併せ、寺跡との関係をうかがわせる。開基役行者で、醍醐天皇勅願によって七堂伽藍を創建したという(紀伊国名所図会)。鎌倉時代初期の成立という「諸山縁起」の「転法輪山」の「宿の次第」に「二 伽陀寺」とみえるが、正嘉元年(一二五七)愚勧住信の記した仏教説話集「私聚百因縁集」には「和泉ノ国伽陀ノ峯従妙ノ石屋又云序品石室始メテ」とあり、また正安二年(一三〇〇)一二月三日の伽陀寺寺僧連署置文(向井家文書)には「葛木一宿伽寺」とあるので、葛城かつらぎ二十八宿の一つは、鎌倉時代のある時期に当寺とされたと思われる。下って永正元年(一五〇四)両峰大先達猷助の記した「葛城修行灌頂式」修験道章疏にも「方便品 伽陀」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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