注進状(読み)チュウシンジョウ

デジタル大辞泉 「注進状」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐じょう〔‐ジャウ〕【注進状】

中世の上申文書の一。荘園代官現地状況年貢収支本所に報告するときなどに用いた。注文

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精選版 日本国語大辞典 「注進状」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐じょう‥ジャウ【注進状】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中世、古文書形式の一つ。事物の明細を記して上部機関に提出する文書。勘録状
    1. [初出の実例]「仍為後日沙汰、放新券文畢。註進状如件」(出典高野山文書‐建仁二年(1202)五月一三日・高橋末貞田地去状)
  3. 鎌倉幕府の訴訟制度で、六波羅探題および鎮西探題からある訴訟事件についての裁決を委ねるために訴陳状問注記などを添えて幕府に送る文書。
    1. [初出の実例]「六波羅并鎮西守護人注進状事」(出典:近衛家本追加‐弘安七年(1284)八月一七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「注進状」の意味・わかりやすい解説

注進状 (ちゅうしんじょう)

日本中世の古文書の一様式。ある事柄の明細を記して注進(報告)した文書。冒頭を〈注進〉と書き出し,書止めを〈右,注進如件〉などと結び,その一通で完結した文書として機能した。注進状は,しばしば注文と呼称され,書式も共通する部分が多いが,相違点は,注文が手控えのメモや副進文書を意味した点にある。また,請文(うけぶみ),つまり命令に対する単なる復命の報告書とは異なって,下位者,下位機関の職務上の独自権限や積極的な調査にもとづき,一定の主張をこめて提出される。具体例としては,まず大田文(おおたぶみ)などの田数注進状や,検注帳,年貢散用状など,中世的知行体系における国衙在庁や荘官の職権的報告書があげられよう。その他,検断や堺相論における〈実検注文〉,つまり現地調査報告書などの法律行政文書,あるいは軍忠状などの軍事関係文書など,多様な部面で注進状は使用された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「注進状」の意味・わかりやすい解説

注進状
ちゅうしんじょう

事物を調査,計量してその詳細を上部機関に報告する文書。平安時代末期から室町時代末期にかけて用いられた。人名,数量などを列挙したものを注文と呼ぶ。土地状況を記録したものが多く,合戦太刀討注文,合戦手負注文,分捕頸注文など,軍功を上申する際も注進状の形式をとった。

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世界大百科事典(旧版)内の注進状の言及

【勘文】より

…〈勘〉はかんがえるの意。勘状,勘注あるいは注進状ともいい,先例を上申したものは勘例ともいう。勘文の内容はきわめて多種類にわたるが,おおむね朝廷の諸事は太政官の外記と史が,日時・方角については陰陽道,日・月食の時刻は暦・算・宿曜道の諸家が,改元の年号は儒家が,犯罪人の量刑については法家が勘申した。…

※「注進状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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