墨江神(すみのえのかみ)、住吉神(すみのえのかみ)ともいう。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が筑紫日向之橘小門之阿波岐原(つくしのひむかのたちばなのおどのあわぎのはら)で禊(みそぎ)をしたとき、阿曇連(あずみのむらじ)の祭る海神少童(わたつみ)(海津見)三神とともに出現した、底筒男(そこつつのお)、中(なか)筒男、表(うわ)(上)筒男の三神を住吉大神(すみのえのおおかみ)という。仲哀(ちゅうあい)天皇崩後の神功(じんぐう)皇后の朝鮮半島平定説話は、この神の託宣に従って行われた神威譚(たん)である。この神は造船や港湾などにも関連し、とくに海外への航路神、軍神として高い尊崇を受けた。この神の記事はほとんどの古代文献にみえ、とりわけ8世紀に書かれたと推定される『住吉大社神代記』には、他の古文献にない資料もみえる。しかし皇神(すめがみ)、現人神(あらひとがみ)ともよばれるこの神の成立や発展については、なお未解明の部分が多い。
[吉井 巖]
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