神託ともいう。神のお告げ。神が人に乗り移り神の意志を伝えること。この場合,人が神に教えを乞うもの,神が人に祭事などを求めて予告するもの,などがあり,そのときの状態を神がかりといった。神が乗り移る対象の多くは,女性,小児であり,また男性神職のことも歴史上よくみられる。《日本書紀》には,神功皇后がみずから神託をうかがったことがみえ,また和気清麻呂も宇佐八幡に参宮して託宣を受けており,国家の大事に際し神意をうかがう例はきわめて多い。とくに八幡神は託宣の神といわれ,皇位継承において重要な役割を果たした。諸社寺に伝わる託宣,神異,縁起などを編集した書物を託宣記といい,《八幡宇佐宮御託宣集》などがある。中世後期以降は,伊勢,石清水,春日の三社の託宣を掛軸に仕立て,床の間に飾って信仰の対象とする三社託宣が,広く庶民の間に流行した。
→神託
執筆者:岡田 荘司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
神託・予託とも。神霊が人にのり移ったり夢の中に出現して,意志を表したり予言を告げること。歴史的には九州の宇佐八幡宮に起因する八幡神が,託宣を利用して地方神から全国的に祭祀される神へと発展した例が知られる。東大寺大仏の鋳造に際しての託宣や,道鏡(どうきょう)が皇位を奪おうとした事件に際し,和気清麻呂(わけのきよまろ)が宇佐八幡宮の神託をもってその野心を退けたなどが有名。鎌倉末期には八幡神の託宣や神異をまとめた「八幡宇佐宮御託宣集」が編纂された。新興宗教の天理教や金光(こんこう)教なども,神が教祖を通じて託宣を発することが契機となって創始された。現在でも民間宗教や島根県の大元神楽(おおもとかぐら)などの民俗芸能には,行者などが神がかりして託宣を行うシャーマニズムの形態がみられる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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