佐備郷(読み)さびごう

日本歴史地名大系 「佐備郷」の解説

佐備郷
さびごう

和名抄」にみえるが、諸本ともに訓はない。天平勝宝二年(七五〇)三月二三日付の勘籍(正倉院文書)に、

<資料は省略されています>

とある。諸上の氏は文書の欠損のため不明だが、佐伯と考えてよかろう。勘籍には養老五年(七二一)以後五年度にわたる記載があるが、「佐備郷戸主佐伯宿禰形見」はかわらない。天平勝宝五年以前の貢進仕丁歴名帳かと思われる正倉院丹裏文書断簡にも「漢人根麻呂年十四河内国石川郡佐備郷戸主草原首東人戸口」とみえる。「常陸国風土記」香島郡の条に、「鍛の佐備大麻呂等」に剣を造らせたとあるように、佐備は鍛冶に従事する氏の称であり(サヒには刀剣の意がある)、佐備郷はそうした鍛冶技術者の居住した地かと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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