神山(読み)かみやま

精選版 日本国語大辞典 「神山」の意味・読み・例文・類語

かみ‐やま【神山】

[1] 〘名〙 神が鎮座する山。また、神社境域の山。
播磨風土記(715頃)揖保「神山(かみやま)、此の山に石神在(いま)す。故、神山と号(なづ)く」
[2]
[一] 京都市北区、賀茂別雷神社(かもわけいかずちじんじゃ)(=上賀茂神社後方の山。標高三〇二メートル。こうやま。御生所(みあれ)山。
※後拾遺(1086)夏・一六九「さかきとる卯月になれば神山ののはがしはもとつはもなし〈曾禰好忠〉」
[二] 神奈川県箱根町にある山。箱根火山中央火口丘(七峰)の最高峰。北側に大涌(おおわく)谷がある。標高一四三八メートル。

しん‐ざん【神山】

〘名〙
① 神聖な山。霊山
撰集抄(1250頃)六「海漫々として、雲の波、けぶりの波、いと深き所に三の神山あり」 〔張衡‐西京賦〕
② 神をまつってある山。
三代格‐一・承和八年(841)三月一日「応制春日神山之内狩猟伐一レ木事〈略〉春日神山四至灼然。而今聞、狩猟之輩触穢斎場、採樵之人伐損樹木
③ 仙人の住む山。
※蕉堅藁(1403)送古心蔵主帰天草旧隠「金鰲背上岌神山、満地瑤華照紫煙」 〔史記‐封禅書〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「神山」の意味・読み・例文・類語

かみやま【神山】

箱根山中央火口丘の一。標高1438メートルで、箱根山の最高峰。
京都市北区、上賀茂神社の北にある山。[歌枕
「―のふもとに咲ける卯の花はたがしめゆひし垣根なるらむ」〈金葉・夏〉

かみ‐やま【神山】

神の鎮座する山。
妻隠つまごもる矢野の―露霜に」〈・二一七八〉

しん‐ざん【神山】

神聖な山。霊山。
神を祭ってある山。
神や仙人が住んでいるという山。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神山」の意味・わかりやすい解説

神山
かみやま

神奈川県南西部、足柄下(あしがらしも)郡箱根町にある山。箱根火山の中央火口丘(7峰)の最高峰。標高1438メートル。成層火山をなし、何回もの噴火によって、比較的流動性に富む溶岩流と火山砕屑物(さいせつぶつ)とが交互に積み重なって富士山型の山体が形成された。放射状の侵食谷が発達し、とくに北と北東の山腹に大涌谷(おおわくだに)と早雲山(そううんざん)の大形の馬蹄形(ばていけい)侵食谷が山麓(さんろく)に向けて開け、硫化水素を含んだ火山ガスが噴出している。神山は箱根地域の温泉の熱源の中心で、それは神山を中心に地下の深所からわき上がるもので、大涌谷と早雲山の噴気は箱根火山中央の火道の位置を示すものと考えられている。

 神山は、草地で覆われるものが多い箱根の山々とは違って美しい原生林に覆われ、富士箱根伊豆国立公園の特別地域の一つになっている。山腹にはヒメシャラ、ブナ、ヤマボウシ、マメザクラなど箱根の代表的樹林が茂り、頂上付近にはハコネコメツツジその他の群落もあって植物の宝庫をなし、小鳥も多い。神山の名は、ここが太古から神体山とされ、神の住む山と考えられていたことによるとされ、箱根神社の元宮跡(奥の院)もあって、広く信仰を集めていた。早雲山―神山―行者の水―大涌谷の神山ハイキングコースがある。

[浅香幸雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「神山」の意味・わかりやすい解説

神山[町] (かみやま)

徳島県中東部,名西(みようざい)郡の町。人口6038(2010)。鮎喰(あくい)川上流域を占める。町域はいわゆる名西山分(さんぶん)にあたり,平地に乏しく総面積の8割以上が山地で,わずかに神領の市街地付近に小盆地が形成されている。西部を国道193号線が縦貫し,中央部を国道439号線が横断するが,鮎喰川に沿う県道と国道439号線の一部は近世の剣山参りの本街道であった。農林業が主産業で,特に梅,スダチは県下一の産地である。ほかに花木,コンニャク,シイタケなどの栽培が盛ん。四国八十八ヵ所12番札所焼山寺があり,南部は中部山渓県立自然公園に属し,雨乞滝,神通滝などの景勝地がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神山」の意味・わかりやすい解説

神山
かみやま

神奈川県南西部,箱根山の中央火口丘の最高峰。標高 1438m。中央火口丘ではただ1つの成層火山で,輝石安山岩から成り,深い樹林におおわれる。北斜面に大涌谷がある。富士箱根伊豆国立公園に属する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「神山」の読み・字形・画数・意味

【神山】しんざん

神仙の山。

字通「神」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の神山の言及

【箱根山】より

…伊豆半島の付け根,神奈川・静岡両県境にまたがる複式火山で,三重式火山とされている。最高峰は神山(1438m)。火山基底長径は30km,体積は96km3(日本の火山中第7位)の大きさをもち,新旧二重のカルデラと神山,駒ヶ岳などの7個の中央火口丘群よりなり,中央火口丘群とカルデラ西壁との間に芦ノ湖を抱く。…

※「神山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android