…【利光 哲夫】
[日本における新しい演劇]
日本においても1960年代・70年代,とくに67年以降70年代前半にかけては,〈新しい演劇〉の活動がきわめて活発に行われた時期であった。具体的には,当時の新聞紙上を一種の風俗的な〈事件〉としても賑わすことの多かった,唐十郎(からじゆうろう),寺山修司あるいは鈴木忠志(ただし),佐藤信(まこと)などの活動であるが,これらは当時,〈アンダーグラウンド演劇〉あるいはしばしば略して〈アングラ演劇〉などという名前で,マスコミに総称されていた。この〈アングラ演劇〉という名称は,もとをただせば英語からの移入であるが,実際にいくつか現れた地下劇場なども念頭に置いて,その劇的想像力の上で白昼的であるよりは地下的な,体制的であるよりは反体制的な,一群の新しい演劇の全体的傾向をとらえて,ジャーナリズムが命名を行い,しだいに定着していったものと思われる。…
※「佐藤信」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」