依網屯倉（読み）よさみのみやけ

日本歴史地名大系

依網屯倉
よさみのみやけ

• 大阪府：大阪市
• 住吉区
• 依網屯倉

大阪平野の各地に存する屯倉（天皇直轄領）の一つ。「和名抄」に、摂津国住吉郡大羅（おおよさみ）郷（現住吉区南東部など）、河内国丹比（たじひ）郡依羅（よさみ）郷（現松原市北西部）、同郡三宅（みやけ）郷（現松原市北部）がみえるが、依網屯倉はこれらの地およびこれに隣接する現堺市の北東部にわたる広大なものであったと考えられる。関係する記録の初見は「日本書紀」仁徳天皇四三年九月条で、それによると、依網屯倉阿弭古が「異しき鳥」を捕って天皇に献じ、つねに「網を張って鳥を捕る」が、このような鳥は得たことがない、といった。百済からの渡来人の酒君が、その鳥は百済では倶知といい、よく鳥を捕らえる、といったので、天皇は鳥を酒君に授けて馴らし、百舌鳥野（もずの）の遊猟に用いた。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

世界大百科事典（旧版）内の依網屯倉の言及

【依網】より

…《和名抄》によると摂津国住吉郡に大(依)羅郷，河内国丹比（たじひ）郡に依羅郷があり，また三河国碧海（あおみ）郡に依納(網)郷がみえる。このうち摂津･河内の郷は，5世紀ごろ依網屯倉（みやけ）が設けられた地で，国郡は異なるが相接する地域であった。現在大阪市住吉区庭井町に大依羅神社があり，依網の地はこの地一帯に比定されている。…

※「依網屯倉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」