日本大百科全書(ニッポニカ) 「侵害受容性疼痛」の意味・わかりやすい解説
侵害受容性疼痛
しんがいじゅようせいとうつう
身体各組織の損傷や炎症および腫瘍(しゅよう)などの病変によって、痛覚受容器を含む侵害受容器が侵害刺激を受けたためにおこる痛み。長期間にわたり侵害刺激が加わる場合には、「神経障害性疼痛」や「心因性疼痛」などとともに慢性疼痛の一つとして数えられる。骨や関節、筋肉や皮膚などが打撲や切開などの機械的刺激を受けたり、炎症などを生じておこる体性痛(体性疼痛)と、身体各臓器の障害や炎症に伴っておこる内臓痛に分けられる。体性痛は痛みの部位がわかりやすいが、内臓痛は部位が特定できない場合も多く、また吐き気・嘔吐(おうと)や発汗・冷汗などの自律神経症状を伴うことがある。
神経障害性疼痛に侵害受容性疼痛や心因性疼痛の要素もあわせもつ疼痛は「混合性疼痛」とよばれる。これは、頸部(けいぶ)から肩や腕にかけての痛みやしびれを伴う頸肩腕症候群(頸腕症候群)、手根管内部を通る正中神経が締めつけられ痛みやしびれを伴う手根管症候群、心因性も指摘される慢性腰痛のほか、がん性疼痛などでみられる。
[編集部 2017年4月18日]