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慢性疼痛 マンセイトウツウ

家庭医学館の解説

まんせいとうつう【慢性疼痛】

 狭い意味では、身体的原因があまりはっきりしないにもかかわらず、痛みが慢性的に続くものをいいます。この場合は、身体表現性障害(しんたいひょうげんせいしょうがい)に含まれ、緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)、心因性の腰痛(ようつう)、舌(した)の痛みを訴える舌痛症(ぜつつうしょう)などがあります。
 また、広い意味では、身体的な病気がはっきりしているものを含むこともあります。
 たとえば、がんによる疼痛、帯状疱疹(たいじょうほうしん)による神経痛、緑内障(りょくないしょう)による疼痛、顎関節症(がくかんせつしょう)による疼痛、五十肩(ごじゅうかた)、肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)、てんかん発作(ほっさ)によるからだの疼痛など、さまざまなものがあります。
 原因となっている疾患があれば、その治療がたいせつなのはいうまでもありません。しかし、完全に疼痛を取り去ることは困難な場合が多いようです。そういったときには、痛みをやわらげる薬物療法やリハビリテーションと並行して、「症状が多少残りながらも、充実した日常生活を送れるようになる」ことを目標とした、認知行動療法が有効なこともあります。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

慢性疼痛
まんせいとうつう

長期間持続する痛みのこと。国際疼痛学会(IASP:International Association of the Study of Pain)の定義によれば、痛みとは「組織が実際に損傷を受けている、もしくは損傷の可能性のあるときに起こる、あるいはその損傷を表すことばによって表現される不快な感覚および情動体験」である。またIASPは、慢性疼痛について「治療に要すると期待される時間の枠組みを超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疾患による痛み」と定義し、「慢性疼痛の病態は複雑であり、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、非器質的(心因性)疼痛が複雑に混在している」と注釈をつけている。「侵害受容性疼痛」とは、組織の損傷による痛みやがん末期に生じる痛みなどをさし、損傷や炎症および腫瘍(しゅよう)などの病変による侵害受容器の持続的な刺激によって起こる。「神経障害性疼痛」は感覚神経路の一部が損傷したときに生じる痛みであり、「心因性疼痛」は心理社会的要因が関与する痛みである。慢性疼痛は、がん末期の痛みのように原因疾患の治療が困難なため長期間持続するものもあるが、おもに原因疾患や組織損傷が治癒した後も長期にわたって痛みが持続する場合をさすことが多く、これには心理社会的要因が深くかかわっている。
 近年注目されている慢性疼痛の一つに、筋肉や筋膜の損傷および圧迫骨折など器質的な原因が取り除かれたあとも痛みや疲労感の持続する慢性腰痛がある。この原因として心理社会的要因が考えられるようになり、その一つにストレスがあげられている。ストレスを受けることで自律神経の機能失調が生じ、筋緊張や血流循環の悪化とともに痛みのコントロールが不能となり、慢性的な腰痛に陥ると考えられている。[編集部]

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