デジタル大辞泉
「頸肩腕症候群」の意味・読み・例文・類語
けいけんわん‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【×頸肩腕症候群】
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けいけんわん‐しょうこうぐん‥シャウコウグン【頸肩腕症候群】
- 〘 名詞 〙 頸部から肩や腕にかけて、しびれや痛みがあり、手指に軽い運動障害を生じる一連の症状。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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頸肩腕症候群 (けいけんわんしょうこうぐん)
shoulder-arm-neck syndrome
頸肩腕障害cervicalsyndromeともいう。長期間にわたって,一定の姿勢が強制されつつ,上肢を反復して過度に使用する労働で発生する職業性の健康障害。1960年代に,キーパンチャー,タイピストなどの打鍵作業に従事する労働者の間に多発したのが始まりで,以後,スーパーマーケットの会計機取扱いの労働者の間にも発生した。機械を使用しない職種でも,前かがみの姿勢で作業を続けたり,重量物を扱う場合,ベルトコンベヤ作業で作業密度の高い組立作業を行う場合や保育士の労働など,上肢を過密な頻度で使用する作業でも発生している。この際,神経緊張,冷えは,症状の発生促進,加重の因子となる。
自覚症として,後頭部,肩,腕,手,指などの部位に,痛み,しびれ,こり,冷え,知覚異常などの訴えがあり,また,目の疲労,頭痛,睡眠障害,情緒不安定の訴えなどもみられるような健康障害が現れる。作業によっては,重量物の取扱いに無理な姿勢が加わるため,腰痛,背痛なども加わってくる。医学的な検査では,筋肉の硬結,圧痛,知覚障害,末梢の循環障害,神経の圧痛,神経テストの陽性などが確かめられる。
こうした職業性の健康障害は,日本では,すでに古く《日本書紀》の中に写経生の病気として記され,〈書痙〉として知られていた。医師の詳しい観察としては,イタリアのラマッツィーニBernardino Ramazzini(1633-1714)が1700年その著書《働く人々の病気》の中で,書記,写字生の病気として記し,その発症要因として,手指および上肢のみならず,姿勢の拘束性および精神・神経の緊張を挙げて,症状と作業の関連を総合的に把握して説明しており,この見解は今日にも通ずる。
労働省は1964年の通達で,これをキーパンチ作業にもとづく障害として業務上疾病の扱いにしたが,しだいに広範な職種に発生するようになったことから,78年の法令改正の際に,〈作業態様にもとづく疾病〉の一つとして,業務上疾病のリストに加えた。
予防のためには,作業の一連続の長さと休憩との組合せを工夫し,休息では気分の転換,適時に軽い運動とマッサージを加え,作業姿勢の適正化,機械の改良,作業方式の改善,作業環境(気温とくに冷え,照明)の改善,健康診断の励行が必要である。
→職業病
執筆者:山田 信也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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「頸肩腕症候群」の解説
けいけんわんしょうこうぐん【頸肩腕症候群 (Cervico-Omo-Brachial Syndrome)】
◎いろいろな病気が原因に
くび、肩、腕、手指にかけて、痛みやしびれ、だるさ(倦怠感(けんたいかん))、力が抜ける感じ(脱力感)、冷たさ(冷感)などの訴えがある場合、その原因疾患がなんであるかはさておき、便宜上、「頸肩腕症候群」という病名をつけることがあります。
したがってこの病名は、症状に対してつけられたものにすぎず、さまざまな病気が原因となって一連の症状をひきおこしているものを総称していることになります。
こうしたことから、昔はこの病名がよく使われていましたが、最近ではあまり使われなくなっています。
事実、診療を続ける間に、診察やX線検査などで、原因となっている病気が明らかになることが多く、その場合、頸肩腕症候群の病名はなくなり、正しい診断名にかわります。
頸肩腕症候群をきたす病気としては、変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう)(「変形性頸椎症(頸部変形性脊椎症)」)、頸椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニア、頸椎後縦靱帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこつかしょう)(「頸椎後縦靱帯骨化症」)、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)(「胸郭出口症候群」)などが多いものです。
原因がはっきりしない場合は、頸肩腕症候群の病名(頸肩腕障害(けいけんわんしょうがい)と呼ぶこともある)が残ることになります。原因である病気が的確に診断されることがもっとも重要で、治療はそれに基づいて行なわれます。
原因不明の場合は、症状に応じて鎮痛薬の投与や温熱療法が行なわれますが、そのなかで、原因となっている病気がはっきりしてくることもあります。
しかし、いつまでも原因がはっきりせず、症状も改善しない場合は、人によっては精神的に落ち込んだり、また、原因究明を求めて、あちこちの病院を受診し、症状がさらに複雑になることがあります。
原因がはっきりしないということは、大きな病気がない証拠だと思って、安易に転院したりせずに、根気よく対症療法を受けることも必要です。
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「頸肩腕症候群」の意味・わかりやすい解説
頸肩腕症候群【けいけんわんしょうこうぐん】
首,肩,腕,手指にかけて痛みやしびれをおこす病気の総称。頸部変形脊椎症,胸郭(きょうかく)出口症候群,外傷や炎症,腫瘍(しゅよう)などによる頸腕障害,骨格筋の異常や内臓反射痛など,さまざまな病気が含まれるが,検査の結果診断がつくまでのとりあえずの診断名とされる。治療は鎮痛薬や筋弛緩剤,温熱療法などによる。
→関連項目VDT症候群|ペインクリニック
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頸肩腕症候群
けいけんわんしょうこうぐん
neck-shoulder-arm syndrome
首,肩,腕,さらには手指の疼痛,しびれ感,脱力感,知覚異常,手指冷感などを訴える状態をいうが,病像の輪郭が漠然としているので定義には諸説がある。頸椎部病変,腕神経叢部病変,末梢神経病変などによるものもすべて包括して頸肩腕症候群と呼ぶ場合と,原因疾患の明確なものは除外して,頸肩腕部の自覚症状を主訴とし,他覚的所見の乏しいものだけをいう場合とがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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