頸部になんらかの原因があって頸部から上肢にかけての痛みがあるものをいい、手の循環障害を伴うこともある。頸肩腕症候群、頸部症候群などともよばれる。おもな症状は、肩こりといわれるような頸筋痛、肩から手にかけての痛み、手のしびれ、手の冷感などであり、後頭神経痛を伴うこともある。若い人、とくに女性では、なで肩の人に多く、タイピストやキーパンチャーなど手の機械作業従事者にしばしばみられる。この場合は頸椎(けいつい)のX線撮影上、異常所見がみられないことが多い。中年以後の者では、頸椎に加齢的な変化である変形性頸椎症の所見を認めることが多い。また、いわゆるむち打ち損傷によっても同様の症状が発生することがしばしばあり、外傷性頸腕症候群とよばれる。
治療は、手術を必要とすることは特別の場合を除いてない。保存的療法として頸部牽引(けんいん)療法や温熱療法などの理学療法を行い、鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤、ビタミン剤などの内服、さらに必要に応じて神経ブロックなどが行われる。慢性化した頑固なものは気長に治療することが必要である。編物、裁縫、刺しゅうなど細かいことをせず、手作業を控えること、枕(まくら)を適当な高さにすることなど、日常生活上の注意も必要になってくる。なお、治療上あるいは予防上、頸部を動かす体操や適当なスポーツが効果のあることも多い。
[永井 隆]
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