信号方式(読み)しんごうほうしき(英語表記)signalling system

改訂新版 世界大百科事典 「信号方式」の意味・わかりやすい解説

信号方式 (しんごうほうしき)
signalling system

電気通信網において交換接続を実行するためには,端末機と交換機の間,交換機と交換機の間においていろいろな制御信号のやりとりが必要である。この信号送受に関する取決めや方法を信号方式という。

 図1は電話網における基本的な信号の流れを示したものである。電話機と交換機の間には送受話器の上げ下ろしを知らせる発呼信号や復旧信号,ダイヤル数字を送る選択信号(ダイヤルパルスプッシュホンの多周波符号),発信音や呼出電鈴音を送る応答信号や呼出信号などがやりとりされる。これらの信号を加入者線信号という。これに対して,交換局間でやりとりされる信号を局間信号という。局間信号を大別すると選択信号と監視信号がある。選択信号はダイヤル数字情報などの中継経路の選択に必要な制御情報である。監視信号は呼の状態を監視し,それに基づいて必要な制御を行うための信号であり,起動や切断など相手局に動作を指令する制御信号と,応答や終話など相手局に呼の状態を通知するための表示信号などがある。そのほか,料金情報転送のための課金信号,通信網の管理や運用などに使用される網管理信号などもある。局間信号の伝達方法には図2に示すような二通りの方式が用いられている。図2-aは個別線信号方式と呼ばれているもので,通話回線の出入口に取り付けられて個々の通話の監視制御を行うトランク回路に信号送受機能を付加し,選択した通話回線を通して通話の前後にその通話に関する局間信号を個別に伝送する方式である。クロスバー交換方式など旧来の交換方式にはこの個別線信号方式が広く用いられている。これに対して最近の電子交換方式には図2-bに示す共通線信号方式が採用されている。これは信号伝達専用に設けられたデータ通信回線を用いて両局間の制御系を直結した方式である。この方式では多量の制御情報を,通話中でも通話に妨害を与えることなしに高速度で伝達することが可能になり,いろいろな新しい通信サービスの導入が容易に行えるようになる。さらに,通信網各部のトラヒック状態を示す広域監視信号の伝達も行えるので,能率的な経路選択制御や異常トラヒック処理などの新しい通信網制御も可能になる。
ディジタル交換 →電話
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