回転式ダイヤルのかわりに押しボタンにより番号を入力する電話機の商品名。回転式に比べ、(1)ダイヤル操作が簡単である。(2)ダイヤル時間が大幅に短縮される、(3)数字以外のボタンをもち新サービスの実施が容易である、(4)端末間の信号伝送が可能である、などの特徴を有する。さらに、電話機本来の目的である人間対人間の通話のほか、人間と機械との通信を可能にし、押しボタンにより発する音響により各種機器への遠隔操作をすることができる。プッシュホンにより享受できるサービスは、短縮ダイヤルサービス、JRの座席予約サービスなどのほか、各種の電話サービスにおいて多用されている。
回転式ダイヤルは、電話番号を回して直流電流を断続して選択信号を送出するが、押しボタン式では、押しボタンの横の列に高群の周波数発振回路、縦の列に低群の周波数発振回路の接点を設け、ボタンを押すとそのボタンに対応した高群、低群の二つの周波数の信号が同時に発振し、それを組み合わせた音響を選択信号として送出する。なお、高群、低群の周波数は、人間の声では発生しにくい周波数となっている。
現在市販されている電話機は、ほとんどがプッシュホンであり、斬新(ざんしん)なデザイン、小型軽量化、利便性を増す付加機能などのくふうを凝らし、多種多様なものがある。
市販されているプッシュホンの多くは、本来のプッシュホンとしての機能とともに、回転式ダイヤルの電話回線に接続する機能がついている。回転式ダイヤルとして使用するか、プッシュホン式として使用するかは選択スイッチで切り換えるようになっているが、それは交換機との接続方式の違いであって、いったん接続された後に各種の電話サービスの利用時はプッシュホンと同様に機能する。
[坪井 了・三木哲也]
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…図3のR1,C1はダイヤル接点保護用の火花消去回路,Bは呼出用の電鈴である。
[プッシュホン]
電話機には上記の回転ダイヤル電話機のほかに,押しボタンダイヤル電話機も広く用いられている。日本ではこれをプッシュホン(push‐phoneは日本での呼称であるが,アメリカではpush‐button,dialing,tone dialing,touch call,touch‐toneなどと呼ばれている)と呼んでいる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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