信頼利益(読み)しんらいりえき(その他表記)Vertrauensinteresse

精選版 日本国語大辞典 「信頼利益」の意味・読み・例文・類語

しんらい‐りえき【信頼利益】

  1. 〘 名詞 〙 無効な契約有効と信じたことによって受けた損害。契約締結のための調査費用履行の準備費用などがこれにあたり、一定限度で損害の賠償を求めることができるとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信頼利益」の意味・わかりやすい解説

信頼利益
しんらいりえき
Vertrauensinteresse

契約が無効ないし失効した場合に契約が有効だと誤信したために生じた損害をいい,そのために無駄になった費用がこれに該当する。消極的契約利益ともいう。履行利益に対する言葉。たとえば,ある音楽家と演奏してもらう契約をした場合に,信頼利益賠償の立場からいうと宣伝費用などが信頼利益にあたる。信頼利益の賠償は特殊な場合に認められ,問題になるのは,無権代理人の相手に対する責任,契約締結上の過失契約解除の際の損害賠償瑕疵担保責任の場合の損害賠償などであるが,一般には,以上の場合には本体である履行利益の賠償請求のみが認められるものとされている。

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世界大百科事典(旧版)内の信頼利益の言及

【契約締結上の過失】より

… 日本の学説では,この法理はかなり古くから紹介され,主として原始的不能の場合を中心に論じられている。通説は,ほぼドイツの解釈にならってこの法理を認め,契約を有効だと信じることによる損害(信頼利益)の賠償請求権を他方当事者に与えるべきだと解しているが,その適用範囲,要件,効果等の細部については,なお議論は一致をみない。日本の判例では,ドイツと異なり(前記(1)のような事情は日本では存しない),この法理の展開する基盤を欠いたためか,契約締結上の過失は久しく問題となっていなかった。…

※「信頼利益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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