俣野氏(読み)またのうじ

改訂新版 世界大百科事典 「俣野氏」の意味・わかりやすい解説

俣野氏 (またのうじ)

相模出身の中世武家。桓武平氏鎌倉党の支族大庭(おおば)氏同族。〈股野〉とも書く。同国高座郡大庭御厨(みくりや)内俣野郷(現,神奈川県藤沢市大庭)を本拠とする。平安末期,大庭景親の弟景尚(久)が俣野を名のったのを初めとする。大庭氏は元来源家の家人(けにん)であったが,平治の乱(1159)後,景親・景尚ともに平家に属し,石橋山の戦(1180)で敗れた景親は梟首(きようしゆ),景尚は逐電上洛したが1195年(建久6)以前に没している。その後俣野氏は鎌倉御家人になったらしく,承久の乱(1221)に俣野小太郎が負傷したこと,将軍藤原頼経の上洛(1238)などに俣野弥太郎が従ったことが《吾妻鏡》に見えている。また鎌倉末期に藤沢清浄光(しようじようこう)寺を開いた時宗4世呑海(どんかい)上人は俣野氏の出であるという。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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