個体性(読み)こたいせい(その他表記)biological individuality

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「個体性」の意味・わかりやすい解説

個体性
こたいせい
biological individuality

生物学でいう個体性には2種類ある。一つは主として高等な動植物といえるもので,複雑な構造や組織が総合されて生物学的に基本の1単位をなし,個体として明確に区画された実体をいう。もう一つは個性,すなわち個体としての特異性を意味し,同一種であっても,2つの個体をとれば,どちらもその種に本質的な構造や行動を示すが,細かい点で差異がみられ,それぞれに独自の遺伝的構成に依存している場合をいう。単細胞生物では,明確に個体性が示されるが,サンゴカツオノエボシなどの群体では,さまざまな程度の個体間の分業がみられる。一般に,従属する単位の個体性が強ければ,相互結合は弱く,個々の単位の個体性が不明確な場合には,集合の単位の個体性がより明らかになるといえる。高等な動植物は,高度に総合された細胞の群体であるともみなしうる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の個体性の言及

【個体】より

…なぜなら,それは必ずしも不可分ではないからである。
[個体性の意味]
 〈原始的といわれる動物には,個体が明りょうでないものが多い〉と初めに述べた。植物において個体という特性(個体性)がはっきりしないのは,植物が動物より原始的な存在だからだと考えることもできる。…

※「個体性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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