光学的厚さ(読み)こうがくてきあつさ(その他表記)optical thickness

改訂新版 世界大百科事典 「光学的厚さ」の意味・わかりやすい解説

光学的厚さ (こうがくてきあつさ)
optical thickness

放射減衰尺度として測られる厚さで,天体物理学において,天体物質層の厚さを表現するのに用いられる。着目する波長λでの単位長当りの吸収係数をκλ,表面からの幾何学的長さをxと記すと,幾何学的厚さdに対応する光学的厚さτλは,と表される。天体中のエネルギーの輸送や天体からの情報の伝達には,放射が重要な役割を演ずるので,この種の尺度が便利である。物質の吸収特性にだけ着目すれば,光学的厚さτλの層を通過することによって,放射強度は1/eτλに減衰する。したがって,観測者に届く天体からの放射は,大部分がτλ1の表層からのものである。τλ<1の場合は,厚さd光子の平均自由行路1/κλよりも小さいので,〈光学的に薄い〉と呼ばれ,逆にτλ>1の場合は,〈光学的に厚い〉と呼ばれる。恒星表面のように内・外の向きがはっきりとしているところでは,τλを外から内へと測り,これを光学的深さと呼ぶ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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