光老化(読み)ひかりろうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「光老化」の意味・わかりやすい解説

光老化
ひかりろうか

長年にわたって太陽光を浴びた皮膚に現れるしみしわ、たるみなどの老徴。加齢に伴って自然に現れる皮膚の変化(自然老化)とは異なり、日光にさらされることの多い部分にみられる皮膚の老化で、おもに紫外線の影響によって起こる。

 自然老化は体幹部や臀部(でんぶ)など、日光にさらされることの少ない部位にみられる加齢性の変化で、表皮は薄くなり、弾力性が低下するものの比較的滑らかで、しみはほとんど生じず、皮膚色はむしろ薄くなる。これに対し、光老化は顔面や首周囲、手の甲など、日光にさらされる機会の多い部位にみられ、ゴワゴワした厚みのある皮膚となり、深いしわやしみが生じるものである。

 医学的には、漁業従事者や農業従事者など、職業上、太陽光を長期にわたって浴びてきた人の皮膚の露出部に特徴的にみられる光線性弾性線維症や日光性角化症として知られ、光老化という名称はおもに美容領域において用いられている。

 地球上に届く太陽光(紫外線)のうち、日焼けの原因となるのはおもに紫外線B波(UVB)であるが、光老化は、より波長の長い紫外線A波(UVA)によるダメージ蓄積によって起こると考えられている。すなわち、自然老化は加齢に伴う避けがたい変化であるが、光老化はサンスクリーン日焼け止め)などである程度予防が可能な変化であるといえる。

[編集部 2019年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科 「光老化」の解説

光老化
(皮膚の病気)

 「老化」とは人が年をとる時に起こる体の変化です。皮膚の老化はしわが増えたり、しみができたり、あるいは皮膚が薄くなったりします。

 紫外線による皮膚の老化を「光老化」といいます。繰り返し日光(紫外線)にあたる部分は、しわやしみができやすいことがわかっています。このような部分では皮膚の弾力線維が変性するため、皮膚のはりがなくなります。また、きめが荒くなり、つやがなくなり、くすみが出て皮膚が黄色っぽくなります。

 このほかに、紫外線に繰り返しあたった皮膚は、皮膚がんや皮膚がんの前駆症状が現れやすくなります。

 日焼けしやすいスキンタイプⅠの人(紫外線で赤くなりやすく、その後、黒くなりにくい)は、紫外線の悪い影響を受けやすいので注意が必要です。

 光老化を予防するためには、外出時には帽子日傘、サンスクリーンなどを用いて、紫外線が直接皮膚に作用しないように注意することが重要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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