児屋郷(読み)こやごう

日本歴史地名大系 「児屋郷」の解説

児屋郷
こやごう

和名抄」所載の郷。同書高山寺本・東急本とも「古也」と訓じる。川辺かわべ山本やまもと郷の南に位置し、東はおそらく同郡郡家ぐうけ郷に、西は武庫川に接すると考えられる。郷域について「大日本史」は武庫郡西昆陽にしこや(現尼崎市)とし、「日本地理志料」は川辺郡の昆陽村から新田しんでん池尻いけじり寺本てらもと山田やまだ野間のま(以上現伊丹市)時友ときとも友行ともゆき東富松ひがしとまつ(現尼崎市)の諸邑にわたる地域を昆陽こや庄と称し、昆陽こんよう寺が寺本村にあるので同地域を故区とする。「大日本地名辞書」は川辺郡稲野いなの(明治二二年成立)、すなわち昆陽・寺本・池尻などを含む地域と考え、後述する「行基年譜」にみえる昆陽寺昆陽こや池なども同地にあるとする。


児屋郷
こやごう

「和名抄」高山寺本にはみえない。東急本は訓を欠くが、同じ摂津国内の武庫むこ(現兵庫県)に同名の郷があり、「古也」と訓ずるから、これと同一と解される。神護景雲元年(七六七)一二月一日の太政官符(類聚三代格)に、奈良大安寺の修理田二町が「一町九条五里卅五大針田、一町九条六里二大針田、島上郡児屋里に在り」とみえる。また天暦四年(九五〇)六月一七日の児屋郷長解(朝野群載)によれば、島上郡五条一里の三町五反の田地が、紀朝臣氏秀から御船宿禰真元へと売買されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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