入善（町）（読み）にゅうぜん

日本大百科全書(ニッポニカ)

入善（町）
にゅうぜん

富山県北東部、下新川郡(しもにいかわぐん)の町。富山湾に臨む。1889年（明治22）町制施行。1953年（昭和28）新屋(あらや)、小摺戸(こすりど)、青木、飯野(いいの)、上原、横山、椚山(くぬぎやま)の7村と合併、1959年舟見(ふなみ)町を編入。あいの風とやま鉄道（旧JR北陸本線）、国道8号、北陸自動車道が通じる。市域は黒部川下流右岸の新扇状地と段丘化した旧扇状地の扇央部を占める。早場米地帯であり、1951年流水客土事業により収量が倍増した。荒又(あらまた)から東隣の朝日町舟川新(ふながわしん)にまたがる地区を中心にチューリップ・イチゴ栽培も行われ、枕(まくら)状の大形の「入善ジャンボ西瓜(すいか)」を特産する。海岸は侵食が激しく護岸堤が連続する。沿岸の芦崎(あしざき)、横山地区には北洋への出漁者が多かったが、1990年代に入って減少し、ほとんどいなくなった。漁業では、2000年以降海洋深層水を活用したアワビの養殖が行われている。中心地区の入善は江戸時代北陸街道の、また舟見は上街道の宿駅であった。入善駅付近には京セラやトーキンの工場があり、繊維、電子部品製造などを行う。「じょうべのま遺跡」（国指定史跡）は荘園の荘所跡とされる。杉沢の沢スギは国指定天然記念物。面積71.25平方キロメートル、人口2万3839（2020）。

［深井三郎］

『『入善町史』（1967・入善町）』▽『『入善町史』資料編・通史編（1986～1990・入善町）』

[参照項目] | 海洋深層水 | 舟見

[補完資料] | 入善町の要覧

富山県入善町位置図

じょうべのま遺跡

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)