入善(読み)にゅうぜん

改訂新版 世界大百科事典 「入善」の意味・わかりやすい解説

入善[町] (にゅうぜん)

富山県北東部,下新川郡の町。人口2万7182(2010)。黒部川下流東岸の扇状地を占め,日本海に面する。黒部川がたびたび分流してはんらんし,黒部四十八ヵ瀬と呼ばれた地で,北陸道の難所でもあった。扇状地特有の砂質浅耕土と川の水の低温のため土地の生産性が低かったが,徐々に水田化が進み,1950年代に流水客土事業が行われて,県内でも特に反当収量の多いコシヒカリなど良質米の単作早場米地帯となった。水田裏作として大正期に導入されたチューリップ栽培が盛んで,長楕円体の黒部スイカなどの特産もある。紡績のほか1970年代になって電子部品,自動車部品などの工場が立地した。黒部川河口の芦崎は北洋漁業出稼ぎで知られた。舟見は江戸時代の宿場町で,舟見温泉がある。杉沢の沢杉(天)はかつては扇状地末端の湧水地に多くみられたが,現在は上原にわずかに残るだけである。奈良末から平安初期にかけてのじょうべのま遺跡(史)がある。JR北陸本線,国道8号線,北陸自動車道が通じる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報