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海洋深層水 カイヨウシンソウスイ

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デジタル大辞泉の解説

かいよう‐しんそうすい〔カイヤウ‐〕【海洋深層水】

太陽光の届かない水深200メートル以上の深海に分布する水。地球上にある水の約90パーセントが深層水だといわれる。成分は場所によって異なるが、表層水に比べ低温で安定している。また、光合成が行われないため有機物が少なく、光合成によって消費される栄養塩類(珪酸塩・燐酸塩・硝酸塩亜硝酸塩など)が多く残っている、病原菌なども非常に少ない、などの特性がある。水産、医療、食品の分野で利用が研究されている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

海洋深層水

太陽光が届かない水深200メートルよりも深い海水。年間を通じて低温で日本海では2度前後とされる。細菌による汚染がほとんどなく、ミネラルや栄養塩に富んでいる。ビールや飲料水、食品加工に使って付加価値付けたり、大根やトマトなどの野菜栽培、アワビなどの水産養殖、化粧水や医薬品開発など、様々な分野で活用されている。

(2007-05-08 朝日新聞 朝刊 山形 1地方)

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百科事典マイペディアの解説

海洋深層水【かいようしんそうすい】

水深200m〜300mより深いところを循環している海水。近年,新しい資源として注目されている。深層水とも呼び,低温で安定していて,ミネラルを多く含み,微生物が少ないなどの特徴がある。

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大辞林 第三版の解説

かいようしんそうすい【海洋深層水】

水深200メートル 以深にある海水。太陽光が届かないため水温が低く安定しており、細菌や化学物質による汚染も少なく、栄養素などを豊富に含んでいる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海洋深層水
かいようしんそうすい

2001年(平成13)4月水産庁が発表した定義によると、海洋深層水(以下、深層水)とは、「光合成による有機物生産が行われず、分解が卓越し、かつ冬季の鉛直混合の到達深度以深の海洋水」とされ、一般的には水深約200メートル以深の海水をさす。水深200メートル以深は深海とよばれることから、「深海にある海水」を意味する資源利用のための造語である。英語では、deep ocean waterあるいはdeep seawaterと表記され、頭文字をとった略称DOWやDSWも用いられる。世界の海の平均水深が約3800メートルであることから考えると、単純計算で海水の約95%が深層水であり、その容量は約13億立方キロメートルの巨大な資源である。現在知られている深層水の特性は、大きく以下の三つに分けられる。エネルギー(低温)、物質(富栄養性)、清浄性であり、これらの性質は周年安定している。このほかに、塩、ミネラル、鉱物、水などの物質資源も含まれる。ただし、清浄性以外の資源濃度は薄く、これらを利用するには高効率技術が必要になる。しかし、地球上のほかの天然資源に比べ、総量の巨大さと、数年から数千年という再生サイクルの速さでまさっている。[高橋正征]

資源利用

海洋において水深と水温の関係をみると、水深200メートルくらいまでの表層の水温は季節や海域によって大きな変動がある。しかし、それ以深の深層水は表層よりも低温の冷水で、周年安定している。深層水の資源利用は、海水の温度差を利用した海洋温度差発電ocean thermal energy conversion(頭文字をとりOTEC(オテック)ともよばれる)として考えられたのが最初で、1881年フランスの物理学者ダルソンバルJacques Arsne d'Arsonval(1851―1940)による。以来、技術開発の歴史があり、2013年時点で実用化を視野に入れた技術開発研究がアメリカ、ハワイ、日本、タヒチなどで進められている。
 一方、深層水の低温エネルギー(水の冷たさ)は、建物の冷房に実利用されている。1974年ハワイでは深層水の資源利用研究のために州立自然エネルギー研究所の設立が決定され、1980年に世界最初の陸上研究施設(ハワイ深層水研究所)、1985年に産業団地を整備し、そこでは水深600メートルからくみ上げた深層水で建物を冷房している。低温エネルギーは、すべて電気で冷房するのに比べ電気代が10分の1ですむ。ハワイの例にヒントを得て、2000年にはコーネル大学(アメリカ)のキャンパスの建物冷房が大学近くの淡水湖の深層水を利用して行われるようになった。また、五大湖の一つオンタリオ湖の深層水を使った冷房や、深層水による熱帯の島々の冷房などの計画も始まっている。夏場の電気量の半分は冷房に使われているので、深層水利用による冷房が拡大すれば、大幅な節電効果が期待される。
 深層水の富栄養性は、植物プランクトンや海藻を培養・栽培して水産物の飼料にしたり有用物質の抽出に利用されている。いずれも1970年代初めごろから検討され、ハワイでは特定の植物プランクトンを培養して健康食品としたり、色素類を抽出して健康維持剤や医薬品に利用する事業が大きく成長した。サラダ用の海藻類の培養、特定の海藻類を培養して高純度寒天を抽出する事業にも利用されている。また、ハワイでは、低温エネルギーと清浄性を合わせて利用して各種の水産物の養殖や種苗生産にも役だてている。[高橋正征]

日本での開発

日本では、1970年代の初めに通産省(現、経済産業省)が海洋温度差発電の研究をサンシャイン計画で始め、1986年(昭和61)からは科学技術庁(現、文部科学省)が温度差発電以外の深層水の資源利用研究を開始した。1989年(平成1)科学技術庁による陸上研究施設(高知県海洋深層水研究所)が高知県室戸(むろと)市室戸岬町三津(みつ)に完成し、深層水の資源利用の基礎・応用研究が本格的に推進された。当初は水深320メートルから1日に460トンの深層水がくみ上げられ、1994年には同所に2本目の取水管が設置され、くみ上げ量が2倍の920トンになった。
 1995年からは深層水の一部が民間にも分けられるようになり、飲食品への利用の道が開かれた。飲料水、酒、しょうゆ、豆腐、パン、干物、漬物、塩などの100種類以上の飲食品に利用されている。これらはすべて清浄性と海水中に含まれている水や塩やミネラルといった物質の利用である。深層水の資源性のなかで清浄性はきわめて高純度で、ごく少量でも大きな価値がある。1998年に深層水の脱塩水でつくった化粧水が、翌1999年には脱塩深層水にカルシウムやマグネシウムを補給した飲料水が全国発売され、それらの効果がテレビで全国放映されて、日本中に深層水の存在が一挙に知られるようになった。
 国内における深層水の陸上取水施設は、2012年10月時点で、沖縄県久米(くめ)島、高知県室戸市室戸岬町三津と高岡、富山県滑川(なめりかわ)市に2か所と入善(にゅうぜん)町、静岡県焼津(やいづ)市、東京都大島町、新潟県佐渡(さど)市、石川県能登(のと)町、北海道の八雲(やくも)町(旧熊石(くまいし)町)、岩内(いわない)町、羅臼(らうす)町(羅臼漁港沖)、鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市(旧下甑(しもこしき)村)、三重県尾鷲(おわせ)市、静岡県伊東市赤沢(あかざわ)にある。計画中のものは3か所以上である。しかしながら、陸上で汲み上げる施設の取水量としては、沖縄県久米島の取水管2本で日量1万3000トンが最大で、その他の施設は日量4000トン以下となり、このような規模では深層水の取水コストが高くなり、少量でも事業展開可能な清浄性資源が中心にならざるをえない。洋上で汲み上げるものでは、2003~2008年に相模(さがみ)湾の中央部分に海洋肥沃化装置「拓海(たくみ)」が設置され、1日に10万トンの深層水を水深200メートルから汲み上げ、表層水20万トンと混合し水深20メートルから海に放水して、深層水の含む栄養性で海の生物生産を高める実験が行われた。
 ハワイでは、取水管1本で日量15万トン以上の取水量があり、清浄性だけでなく、低温エネルギーや富栄養性の事業展開も十分可能となっている。ハワイ、日本以外では、ノルウェーが海水魚の養殖用に清浄な深層水をくみ上げて利用する実験を行った例がある。台湾では2005年に東海岸の花蓮(かれん)市の七星潭(チーシンタン)海岸に民間会社3社がそれぞれ独自の深層水の取水施設と脱塩処理施設を建設し、飲料水、化粧水をはじめ各種の深層水製品の生産・販売を始めた。深層水を利用した水産生物の種苗生産や養殖、あるいは冷熱を利用した農産物生産も行われている。2012年には東海岸南部の台東(たいとう)市郊外に台湾政府が深層水資源の研究と利用技術開発を目的とした二つの国立研究機関を創設した。水深約700メートルから深層水を陸上へ取水し、重要な水産資源生物の遺伝子保存と、冷熱エネルギーをはじめとした多様な深層水資源とその利用の研究を行っている。韓国でも2006年に国立海洋研究所が、北東部の江原(こうげん)に深層水の陸上取水施設を新設し、以来、江原と慶北の地域(ともに韓国北東部)6か所に取水施設がつくられた。低温・清浄性を利用した冷水性魚貝類の蓄養をはじめとした、深層水資源の多様な利用が進められている。さらにはパラオやモルジブなど熱帯・亜熱帯の国々や地域でも深層水の資源利用への取組みの機運が高まっている。[高橋正征]
『高橋正征著『海にねむる資源――海洋深層水』(2000・あすなろ書房) ▽吉田秀樹著『よくわかる海洋深層水』(2000・コスモトゥーワン) ▽月刊『海洋』特別号「海洋深層水――取水とその資源利用」(2000・海洋出版) ▽藤田大介・高橋正征編著『海洋深層水利用学――基礎から応用・実践まで』(2006・成山堂書店)』

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