大学事典 「入学前教育」の解説
入学前教育
にゅうがくぜんきょういく
education for pre-registered students
2000年前後から各大学で採用されるようになった推薦入試やAO入試では,入学決定から実際に入学するまで数ヵ月に及ぶ「ギャップ・ターム」が生じる。入試準備の動機を失った高校生は,周囲から孤立して自己の生活管理に困難を感じるだけではなく,周囲の生徒にも良くない影響を与えることが危惧されている。入学決定者に,より積極的な生活を送らせるため,レポートを課して提出させる,一定間隔で面接を行う,センター試験の受験を推奨する,ポートフォリオを作らせる等の入学前教育を行っている大学学部がある。ただし,全学的な規定を設けて入学前教育を実施している例は多くはない。2007年の文部科学省の調査によれば,大学を総合大学,理系中心,文系中心,芸術中心,医療医学系中心の5学系に分けた場合,入学前教育の「機能度」が最も高いのは理系中心大学で5点満点で3.62,最も低いのは医療医学系大学で3.33であった。ここでの機能度とは,学内での実施状況を把握して点数化したものを指す。
著者: 小笠原正明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報