朝日日本歴史人物事典 「全海」の解説
全海
生年:慶長7.6.8(1602.7.26)
江戸時代の湯殿山系の即身仏(即身成仏した行者のミイラ)。新潟県鹿瀬町菱潟の観音寺に祀られる。俗名を善吉といい,農業と筏乗りを職業としていた。早く妻子と死別し,湯殿山大日坊で一世行人となる。18年間の修行ののち正保4(1647)年に帰郷し,観音寺近くの行屋に住み,筏乗りに難所として恐れられた阿賀野川の荒板,猪の鼻,立岩という大岩を取り除く大工事をした。遺体を埋葬しないよう遺言して,端座合掌して入定した。<参考文献>内藤正敏『ミイラ信仰の研究』,日本ミイラ研究グループ編『日本ミイラの研究』
(内藤正敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報