全部保険（読み）ぜんぶほけん（その他表記）insurance of value

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

全部保険
ぜんぶほけん
insurance of value

全額保険ともいい，一部保険に対する概念。保険価額と保険金額とが一致する場合の損害保険についての概念で，小損害の場合に保険金が給付されない小損害不担保その他の特約がある場合を除いて損害額のすべてが填補される。保険価額という概念が成立しえない生命保険および責任保険 (損害保険に属する) においては，全部保険，一部保険，超過保険，重複保険などの問題は生じない。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

損害保険用語集

全部保険

保険金額が保険の対象となる物の価額と等しい場合をいいます。「全部保険」の場合は、事故時には損害額に応じた損害保険金が支払われます。

出典　自動車保険・医療保険のソニー損保

世界大百科事典（旧版）内の全部保険の言及

【一部保険】より

…たとえば，保険価額100万円の物件に保険金額60万円の損害保険契約が締結されていて，保険事故が発生した事例では，損害額100万円の全損であった場合でも60万円，また損害額が50万円の分損であったときは，特約がないかぎり，が保険金となる。　これに対して，保険金額と保険価額との関係で，保険金額と保険価額とが等しい損害保険契約である場合を全部保険といい，保険金額が保険価額を超えるときを超過保険という。超過保険においては，保険価額を超過した部分は無効とされ(商法631条)，保険契約の一部無効とされた部分については，保険契約者および被保険者が善意でかつ重過失がないときに限り，超過部分の割合に応じて保険料の一部の返還を求めることができる(商法643条)。…

【保険価額】より

…なお，保険金額が保険価額を超えた場合，これを超過保険といい，超過部分は無効となる。また，保険金額と保険価額が一致している場合を全部保険，保険金額が保険価額を下回る場合を一部保険という。保険価額の評価は，社会通念による客観的な判断を基準とすべきであり，商法は，保険会社が塡補すべき損害の額を，原則として，損害が生じた地におけるそのときの保険価額に基づいて算出することとしている(638条)。…

※「全部保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」