八幡山古墳〈愛知県〉(読み)はちまんやまこふん

国指定史跡ガイド 「八幡山古墳〈愛知県〉」の解説

はちまんやまこふん【八幡山古墳〈愛知県〉】


愛知県名古屋市昭和区山脇町にある古墳。名古屋市の中心部近く、鶴舞(つるまい)公園の東南隅の御器所(ごきそ)台地に5世紀中ごろに築造された、東海地方最大級の円墳。直径82m、高さ10m、外周は幅10mの濠になっており、名古屋台地を支配していた豪族墳墓と推測される。戦前、墳丘から形象埴輪(はにわ)や朝顔形円筒埴輪が出土したが、戦災で失われ、戦後、墳丘が掘り荒されていたのを名古屋市が公園整備の中で土盛り整形しているので、築造当時の姿ではないという。この御器所台地の西端には、八幡山古墳の北方に隣接して前方後円墳の一本松古墳もあり、一群の古墳が築かれていて、その中心的古墳と考えられる。名前の由来は、八幡山の頭頂部に祠(ほこら)があったことによる。1919年(大正8)に鶴舞公園に編入され、当時は老松大木が鬱蒼と茂っていたが、第2次大戦中の1942年(昭和17)、陸軍による接収後に高射砲陣地が造られて周囲の樹木が伐採され、頭頂部は削られてしまった。戦後は再び植林緑化され、1982年(昭和57)からは緑地保全地区に指定されて円周には桜が植えられ、春には隠れた桜の名所になっている。1931年(昭和6)に国の史跡に指定された。JR中央本線ほか鶴舞駅から徒歩約8分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報